HTTP/1.0 200 OK Age: 1 Accept-Ranges: bytes Date: Mon, 17 Aug 2009 22:21:10 GMT Content-Length: 8624 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.2 Last-Modified: Sat, 15 Aug 2009 15:10:56 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

音声ブラウザ専用。こちらより記事見出しへ移動可能です。クリック。

音声ブラウザ専用。こちらより検索フォームへ移動可能です。クリック。

NIKKEI NET

社説1 09衆院選 政策を問う 成長と改革抜きに語れぬ財政健全化(8/16)

 著しく悪化した日本の財政を立て直すことは、党派を問わず、将来世代に対する政治の重い責任である。ところが、衆院選の政策論議をみる限り、自民党と民主党はその責任を果たそうとしているか疑問だ。十分な経済成長と大胆な制度改革がない限り、財政健全化は実現できない。この視点が徹底していない。

 国と地方で日本政府の長期債務は国内総生産(GDP)の1.7倍にのぼる。長期金利が大幅に上昇すれば、多額の国債発行の利払い費が膨らみ、財政は一層苦しくなる。当面の景気対応とともに、中長期の財政健全化の道筋を示すことが、金融市場の信頼を保つ意味でも不可欠だ。

 衆院選のマニフェスト(政権公約)は両党とも不十分な内容だ。

 自民党は現状の健全化目標を踏襲する。国・地方の基礎的財政収支の黒字化を今後10年以内に達成し、2020年代初めには債務残高の対GDP比率を安定的に下げる。11年度までに消費税率引き上げなど税制の抜本改革で法律上の措置を整え、経済好転後に遅れずに実施する。

 中期の数値目標や税制改革のメドを具体的に掲げたのはいいが、旧来の財政構造をどう変え、目標をどう達成するかの道筋が見えない。

 民主党は子ども手当などの生活支援策を優先し、財源確保へ予算の構造を根本的に見直す。公共事業や天下り法人への支出削減などで9兆円余りの無駄をなくす。財政健全化の目標は政権獲得後、10年度予算編成の時に示すという。4年間は消費税率を上げない。

 新たな発想で予算の組み替えに取り組むのは評価できるが、党内の抵抗を排して大胆に事業を削る決意はあるのか。財政健全化の目安も示さずに信を問うのも疑問がある。

 数合わせの発想で財政健全化を進めるのは誤りだ。日本経済が成長しない限り、十分な税収は上がらない。自民党も民主党も成長戦略という言葉は掲げるが、経済を支える企業部門の供給力を高める規制改革などにはどちらも及び腰だ。

 支出膨張を抑えるには少子高齢化で給付が増える年金や医療といった社会保障の根本的な制度改革が不可欠だが、明確なビジョンはない。

 目下は景気回復が最優先だ。国際的に表明した財政出動の規模を落とすべきではない。だが、その後の中期的な財政安定をどう達成するかについて、自民、民主両党はもっと真剣に構想を語るべきである。

社説・春秋記事一覧