国際オリンピック委員会(IOC)理事会は、2016年夏季五輪の追加競技をゴルフと7人制ラグビーに絞り込んだ。10月に開催される総会での投票によって正式に決まる。12年のロンドン五輪の実施競技から外された野球とソフトボールの復帰はかなわなかった。
選考は7競技を対象に、過半数を獲得するまで最も票数が少ない競技を外しながら進められた。7人制ラグビーは15人制に比べてなじみは薄いが、「展開が速く、短期間で試合数をこなせる」など五輪運営上の利点の売り込みが功を奏した。日本ラグビー界にとって発展への原動力として期待される。
ゴルフは112年ぶりの五輪復帰だ。「富裕層のスポーツ」との指摘もあったが、タイガー・ウッズ選手(米国)らトッププロの関心も高く、スポンサー獲得などの商業面での魅力が選出へと動かした。日本では石川遼選手や宮里藍選手ら人気選手の活躍でファン層が大きく広がっており、実施されれば目玉競技となりそうだ。
日本にとって残念だったのが、「お家芸」ともいえる野球とソフトボールの落選だ。ともに欧州やアフリカなどへの普及の不十分さが響いた。野球では大リーグのドーピング対策の遅れもマイナス材料となった。
特にソフトボールは、国際的な活躍の場が少なく五輪が生命線だっただけに痛手は深刻だ。北京五輪では金メダルに輝いたが、その後は協賛企業の減少や実業団の休廃部の懸念など非五輪競技の悲哀が増している。
空手やローラースポーツ、スカッシュを加えた5競技の国内団体は復帰と次のチャンス獲得をにらむ。子どもたちに夢を抱かせるためにも、他国と連携を強めて普及やアピール戦略に一層知恵を絞ってもらいたい。