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社説2 回復力はなお弱い米経済(8/14)

 米国経済が長いトンネルを抜け出し回復に向かい始めたという見方が金融市場などで浮上している。確かに最近の経済指標には好転の兆しもみられるが、なお油断は禁物だ。最悪期は脱しても、景気の回復力は従来よりもかなり弱いとみたほうがよいだろう。

 「経済活動は横ばいになっている」。米連邦準備理事会(FRB)は12日の声明で景気下げ止まりが明確になったとの判断を示した。危機対応で実施した長期国債買い切りの10月終了を示唆するなど、異例の金融政策の正常化に踏み出す構えだ。

 オバマ米大統領も7月の雇用統計が発表された7日に「我々は正しい方向に向かっている」と述べ、米経済の先行きへの自信を示した。7月の雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比24万人減と2008年8月以来の小幅な減少にとどまり、失業率もわずかながら低下した。

 09年4〜6月期の実質GDP(国内総生産)も前期比年率で1.0%減と、減少率は1〜3月期(6.4%減)から縮小した。最近の指標をみる限りは、米政府やFRBが言うように、米経済は最悪期を脱しつつあるようにみえる。

 金融市場でも米経済への悲観論の後退から、米株式相場、ドル相場は堅調に推移している。

 だが、米経済の先行きにはなお不安材料も多い。その第一は雇用と消費の行方である。雇用情勢に好転の兆しがあるとはいえ、まだ雇用者数減少の幅が縮まってきたという段階だ。雇用が増え所得環境が改善しないと、米経済の内需のエンジンである個人消費は回復しないだろう。

 今回の不況では、家計部門に住宅・自動車ローンなどの借金が積み上がっており、その調整には従来よりも時間がかかる可能性が高い。

 第二の不安は金融機関の不良資産問題だ。米当局が4月に大手金融機関の健全性審査の結果を公表した後、大手金融機関の一部は公的資金を返済し、業績の回復もみられる。その一方で、商業用不動産向け融資や消費者ローンなどで不良資産が今後さらに増えるとの見方もある。

 今回の金融危機による米経済の傷がどれくらいの深さなのか、もう少し見極めが必要だ。

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