HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 56114 Content-Type: text/html ETag: "f3491-123e-253e1780" Expires: Thu, 13 Aug 2009 00:21:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 13 Aug 2009 00:21:13 GMT Connection: close 8月13日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

8月13日付 編集手帳

 動物が見せる何気ないしぐさは、ときに人の心を打つ。川柳作家、時実(ときざね)新子さんの句がある。〈象が(ひざ)折る 涙が()いてくる〉。説明は要らないだろう◆膝を折らなくても、目がしらの湿ってくるゾウもいる。何日か前の国際面で「パンダゾウ」の写真を見た。タイの古都アユタヤの観光施設で、パンダに似せて白黒に塗られたゾウである◆パンダ人気にあやかっての演出らしい。絵の具は無害というが、まあ、人間さまの勘違いだろう。遠く離れた小欄が嘆いてみてもゾウ君の慰めにはならないが、とりあえず()め息をついておく◆きょうも各地の動物園で子供の歓声がゾウたちを包むことだろう。ありのままの姿で、それだけで人は感動するものを。〈パンダゾウの悲哀〉と見出しのついた記事は「ゾウの目は笑っていなかった」と結ばれている◆本来の自分を見せればいいものを、場違いな冗談を言っては周囲の空気を冷え込ませてみたり、上機嫌を装っては疲れ果ててみたり、勘違いの“人間パンダゾウ”を演じた気まずい記憶がふと脳裏をかすめぬでもない。何かと気分を落ち込ませてくれる写真ではある。

2009年8月13日01時16分  読売新聞)
現在位置は
です