HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 12 Aug 2009 21:18:23 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:人事院勧告 次期政権で大幅改革を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

人事院勧告 次期政権で大幅改革を

2009年8月12日

 今年の人事院勧告は六年ぶりの大幅引き下げとなったが、国家公務員の給与は依然として民間よりも高いというのが国民の実感だろう。次期政権は給与改革にしっかりと取り組んでもらいたい。

 人事院も苦労したことだろう。国民からの高給・厚遇批判に対処する一方、公務員の士気低下は防がなければならない。そこで今年は若年層と医療職を除き、中堅層や管理職の引き下げ幅を広げることにした。

 勧告内容は(1)民間給与との格差を是正するため月給とボーナス合計で年間十五万四千円引き下げる(2)来年四月から時間外労働の割増賃金率を引き上げる(3)六十五歳定年制実現に向けて具体的な取り組みを急ぐ−などとなっている。

 引き下げ勧告が出たとはいえ一般行政職の年間給与はモデルで六百三十五万六千円。諸手当を入れれば実際の年収はもっと高い。

 今年の経済財政白書は雇用者約五千万人の過半数が年収三百万円以下、と指摘した。国税庁の調査でも同二百万円以下が一千万人を超えている。低賃金に加え民間労働者の間では正規・非正規雇用を問わず失業者が急増中だ。

 現行の民間準拠の仕組みに問題がある。人事院の民間給与調査は役職や勤務地域、学歴、年齢ごとに条件がほぼ同じ民間給与と比較して算出しているという。

 確かに形式は整っているが、結果的には大企業管理職の給与を色濃く反映している。中小企業や低賃金にあえぐ派遣やパート社員の賃金水準は反映されていない。「公務と民間業務とは性格が違う」というのが人事院の説明だ。

 民間準拠の使い方が、ご都合主義的である。国家公務員の六十五歳定年制導入を求めているが、民間企業では六十五歳定年制を採用しているところは一割程度しかない。現行の再任用制度ではなぜ駄目なのか十分に説明すべきだ。

 国債などの債務残高は八百六十兆円を超え国家財政は破綻(はたん)状況にある。社会保険庁の杜撰(ずさん)な年金記録や相次ぐ官僚の不祥事など、待遇見直しを求める声は強い。

 やはり政治が大なたを振るわなければならない。公務員制度改革は次期政権の最重要課題だ。

 自民党は選挙公約で国家公務員の給与体系見直しと人員削減計画を明記した。民主党も国家公務員の総人件費約五兆三千億円の二割削減を掲げている。労働基本権の付与とともに公務員給与の見直しもきちんと行うべきだ。

 

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