台風9号が日本列島の南海上を東進中、静岡県を中心に震度6弱の地震が襲った。地震と台風が重なったとき、どう対応するか。バラバラではない防災対策を考えておく必要がある。
日本では東海地震、東南海・南海地震という海溝型地震が警告され、直下型もどこでも起こる。台風シーズンと重なれば、どちらの災害も待ってくれない。
地震と台風が同時に被害を与えるなら、住民への情報提供や避難誘導などソフト、防災施設整備などハードの両面で、対策も連携しあう必要がある。
気象庁は台風の進路を五日先まで予報する。河川の増水などの情報とあわせ、少なくとも人身の安全については、避難など早めに対策を講じるのは可能である。
一方、駿河湾を震源とする今回の地震は一応、東海地震と結び付かないとされた。発生は夜明けだったが、大規模家屋倒壊などには至らなかった。
地震は、緊急地震速報が出てから大きな揺れがくるまでには、常に秒単位の短い時間しかない。夜明けのことで、ラジオやテレビを視聴していた人は少ない。防災行政無線なら眠っている人も起こし、多くの住民に周知できる。情報提供の方法を再検討すべきだ。
静岡県牧之原市で東名高速道路の路肩が崩れ、通行の障害となった。高速道路は橋の耐震強化が進んでいるが、土盛り部分は従来、問題とされなかった。しかし台風に伴う雨と地震が相次ぐと、意外にもろいのではないか。
高規格道路は災害時、救援物資や復旧資材、要員輸送の基幹ルートとなる。それが簡単に通れなくなってはお手上げである。
静岡市清水区由比地区には東名と国道1号、JR東海道線が急傾斜地と海に挟まれた狭い部分に集まった区間がある。まず障害が起きないよう維持、万一の時は通行規制に万全を期すべきだ。
伊勢湾台風を機に、名古屋港には高潮防波堤が造られたが、大地震の際に地盤が液状化し、沈下の恐れが明らかになった。各地の港湾にも、高潮や津波を防ぐ防潮壁や防潮扉が設けられた。地盤沈下で役立たずになっては大変だ。点検と対応策を急ぎたい。
東海地震で最大の被災が予想される静岡県は県職員らが毎月、防災訓練を繰り返している。それを生かし今回の地震でも早朝、職員は持ち場に参集した。大小にかかわらず、関係者は災害時の対応を誤らないよう心掛けてほしい。
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