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社説2 許せぬスー・チー不当判決(8/12)

 ミャンマー軍事政権は民主化勢力の指導者アウン・サン・スー・チー氏(64)に自宅軟禁1年半の命令を下した。軍事政権が来年に計画している総選挙にスー・チー氏が参加するのは極めて難しくなり、ミャンマーの民主化は一段と遠のいた。

 軟禁下にあったスー・チー氏が昨年11月と今年5月、自宅に隣接する池を泳いで渡ってきた米国人旅行者と会ったことが、国家防御法の定める「無許可で外国人に会った罪」に当たるとされた。

 3カ月にわたって審理してきた特別法廷は11日、スー・チー氏に3年の禁固と重労働の判決を下した。直後に軍事政権は、1年半の自宅軟禁に減刑する特別命令を発表した。

 外国人旅行者が警備をかいくぐってスー・チー氏の自宅を訪れたことをはじめ、事件の経緯も判決も疑問点が多い。スー・チー氏は控訴する方針だ。ただ、判決が覆る可能性は小さいとみられる。

 軍事政権は1989年からの20年間のうち累計で14年間にわたってスー・チー氏を軟禁・拘束してきた。本来は今年5月末に軟禁期限が切れるはずだったが、その直前に今回の事件で起訴された。

 起訴のタイミング、総選挙に向けた政治活動を完全に封じ込めることになる自宅軟禁期限の設定など、司法に名を借りた政治弾圧なのは明らかだ。人道的にも許し難い。

 軍事政権は総選挙を通じて民主化が進展したと内外にアピールしたい考えとみられる。だがブラウン英首相は今回の判決を受け、総選挙は正当性を失ったと指摘した。

 潘基文国連事務総長と東南アジア諸国連合(ASEAN)は7月、相次いでスー・チー氏を含む政治犯の釈放を求めていた。スー・チー氏への弾圧が続く限り国際社会は民主化が進展したとは認めないことを、軍事政権は理解すべきだ。

 逆に、スー・チー氏を解放し真の民主化への道を踏み出せば、日米欧が経済制裁をやめ積極的な支援に転じるのは確実だ。軍事政権は自ら、愚かな道を歩んでいる。

 事務総長の要請を無視された国連は対応を問われる。安全保障理事会でミャンマー制裁に消極姿勢を示してきた中国とロシアが焦点だ。

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