HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57663 Content-Type: text/html ETag: "ad6a5-15f2-c8a87d80" Expires: Tue, 11 Aug 2009 03:21:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 11 Aug 2009 03:21:13 GMT Connection: close 警察白書 国民の「抵抗力」が被害を防ぐ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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警察白書 国民の「抵抗力」が被害を防ぐ(8月11日付・読売社説)

 今年の警察白書は「日常生活を脅かす犯罪」を特集した。

 具体例として、振り込め詐欺や悪徳商法などを挙げ、特に振り込め詐欺について、警察の取り組みや今後の課題を詳述している。

 刑法犯罪の全体の件数は2002年をピークに減少している。それでも「治安に対する国民の不安がぬぐえない要因の一つ」に、これらの犯罪の広がりがあると白書は指摘する。

 経済不況が長引けば、日常生活を脅かす新手の犯罪が次々と増殖する恐れがあるだろう。

 白書は、被害防止には情報提供などの「国民の理解と協力」、犯罪に対する「国民の抵抗力」を高めていくことが重要だと強調している。まさに、警察だけで解決できる問題ではない。

 息子や孫などを装うオレオレ詐欺、社会保険事務所や税務署の職員を名乗る還付金詐欺など、振り込め詐欺の手口は様々だ。

 被害は全国に及ぶが、被害金の多くは首都圏の現金自動預け払い機(ATM)で引き出される。犯行に使われる預貯金口座と携帯電話は他人名義や架空名義だ。

 犯行グループは、だまし役、預貯金口座や携帯電話の調達役、詐取した金の引き出し役など役割分担し、全容を見せない。検挙率も2割強にとどまっている。

 警察庁は犯行手口をデータベース化して捜査に活用し、都道府県警察の捜査員による専従班を首都圏に投入するなど、全国警察を挙げた取り組みを展開してきた。全国的に脅威となっている犯罪に対しては、必要な対応であった。

 ATMによる現金の振り込みを10万円までに制限したら、口座間送金をさせる手口が増加した。警戒の強いATMを避けて、郵便の専用封筒で私設私書箱あてに現金を送らせる手口が増えてきた。

 犯罪者の悪知恵とのいたちごっこが続く。新たな手口には、法整備を含めて、確実に抜け道をふさいでいくことが大事だ。

 預貯金口座やATM、携帯電話を、いかに犯罪に利用されないようにするか。金融機関や携帯電話事業者も真剣に対応すべきだ。金融庁、総務省、秋にも発足予定の消費者庁など、関係省庁間の連携の必要性も増している。

 白書は最後に、希薄化した地域の連帯や家族の(きずな)を再生し、社会全体で犯罪に立ち向かうことの重要さに言及している。どうすれば犯罪者につけ入るすきを与えないか。地域ごとの地道な取り組みも求められている。

2009年8月11日01時07分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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