勤務時間中に無許可で労働組合活動に従事する「ヤミ専従」について再調査を進めていた総務省が調査結果を発表した。過去3年間で違法な組合活動に従事した職員は、地方にある出先機関を中心に国土交通、農林水産、厚生労働の3省で合わせて1466人に及ぶ。
このうち、1日4時間以上の組合活動が年間30日を超える常習的な「ヤミ専従」は農水省の97人。4時間未満の活動が年間30日以上あった「準ヤミ専従」は農水省101人、国交省12人だった。このほか年間30日未満だが許可を得なかったのは国交省932人、農水省316人、厚労省8人となっている。
総務省は社会保険庁のヤミ専従問題を受けて、昨年5月に全省庁を対象にした実態調査を実施した。しかし、「該当なし」と回答した農水省で多数のヤミ専従の事例が発覚したことなどから、各省庁任せだった調査方法を統一するなどして今年5月から再調査を行ってきた。
ヤミ専従は国民の税金である給与を不当に得るもので、国家公務員法で禁じられている。それが続いてきた背景には、自己中心的なゆがんだ労使関係があるといえよう。
再調査のきっかけとなった農水省の場合では法令順守の意識を欠いた労組側だけでなく、省側もヤミ専従の疑いを把握しながら欺き、関係文書を改ざんするなど組織ぐるみで隠ぺいを図った。国交省のケースでは、勤務時間内の組合活動を容認する指示文書が長く引き継がれてきたことが分かった。
何とも悪質で根深い。それだけに「3省以外ないのか」と疑念を抱く向きもあろう。大きく損なわれた官の信頼を回復するには、労使双方が危機感を強めてウミを出し切り、健全な関係へ一から出直す以外ない。