夏本番を迎えても新型インフルエンザの流行拡大が続いている。一時に比べ一般の関心が薄れてきている感が否めないが、警戒は怠れない。
国内では7月下旬に感染者数が5千人を突破した。厚生労働省は感染対策上、個別事例を把握する意味が薄れたとし、感染者の全数把握を中止、集団発生の早期把握に重点を置く対応に切り替えた。先進各国も同様で感染者が増えすぎて検査しきれない事情もあるようだ。
奈良県を中心に開催中の全国高校総合体育大会(インターハイ)でも選手が感染して途中から出場を辞退した学校があるほか、夏の甲子園出場校の部員にも感染者が出ている。10代の感染者が多いのも特徴だ。
世界的には7月末時点の感染者は15万人超。特に現在冬の南半球で拡大しており、秋以降日本国内で第2波の流行があるのは確実とみられる。国は学校や社会福祉法人などに集団発生の疑いがあれば都道府県に届け出るよう求めている。しっかり監視していく必要がある。
新型用ワクチンは開発、製造が遅れ気味のようだ。国は年内に1400万01700万人分を確保する考えだが、不足する場合は輸入も検討するという。適切な対応が求められる。
個人でも、手洗いやうがいなどを心がけたい。また、夏休みの海外旅行シーズンを迎えている。渡航先の情報把握などに努めたいものだ。米国では感染者が実数では100万人を超えているとの推計もある。
今回の新型インフルエンザは多くの場合症状が軽く、それが警戒感の薄れを誘った面があろう。しかし、感染を繰り返すうちに悪質化する危険が去ったわけではない。まだ未解明の部分が多いウイルスであることを忘れてはなるまい。