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社説1 与野党協議を見据え年金の持続性競え(8/8)

 年金制度改革への有権者の関心は高い。社会保険庁の不祥事やでたらめな記録管理が年金への不信感を増幅させた。どちらの政党が政権をとっても、記録問題の解決に優先して取り組むべきなのは、いうまでもない。

 より根本的な問題は、年金を少子高齢化の進展に堪えうるかたちにどう改革するかだ。出生数の低迷が続く日本は世界有数の長寿国だ。少子化対策や経済成長の促進策が当然、必要になると同時に、年金制度は「少子高齢社会仕様」へと大胆に改革しなければならない。

 その視点で自民、民主両党の政権公約を比べてみよう。

 自民党は(1)3年以内に無年金・低年金対策をとる(2)非正規社員の保障を見直す(3)会社員の厚生年金と公務員などの共済年金を統合する――を挙げた。(2)と(3)はそれを実現するための法案が前国会で衆院さえ通過せず廃案になった。早期実現は当然だ。なぜ法改正しなかったのか、政権党として反省がないのはおかしい。

 無年金対策はどういう方法でするのか、財源を示すべきだ。払った保険料に応じて給付が決まる今の社会保険方式が望ましいと、自民党は主張してきた。無年金者を税で救うとすれば、保険料をきちんと払った人との不公平が広がる矛盾が生じる。

 正規社員や公務員以外の人などが入る国民年金の保険料未納率は、2008年度に過去最高の37.9%に達した。無年金の予備軍は激増している。支払うことができるのに保険料を払わなかった人まで救うのかどうかなど、詰めるべき点は多い。

 民主党は07年参院選の政権公約をほぼ踏襲した。職業にかかわらず年金制度を統合し、現役時代の収入が低い人には消費税を財源に最低保障年金を支給するという案だ。

 07年は最低保障年金の対象者を明らかにしたが今回は示していない。どの程度の収入の人にまで支給するのかを明示すべきだ。それなしには必要財源の計算ができない。同党の政権公約の柱は4年間、消費税率を据え置くというものだ。30年、50年先を見据えて負担と給付の水準を責任をもって説明する必要がある。

 特筆すべきは、自民党が初めて「法に基づく超党派協議機関」を唱えた点だ。年金改革は与野党が目先の利害を超えて、持続性を高めるために胸襟を開いて議論すべきである。民主党の岡田克也幹事長も超党派協議の必要性を訴えている。選挙後の速やかな設立を期待する。

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