HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57702 Content-Type: text/html ETag: "21ac62-1581-62570100" Expires: Fri, 07 Aug 2009 03:22:48 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 07 Aug 2009 03:22:48 GMT Connection: close 原爆症訴訟終結 超党派で全面解決に取り組め : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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原爆症訴訟終結 超党派で全面解決に取り組め(8月7日付・読売社説)

 原爆症の認定をめぐる集団訴訟が、政治判断によって、終結することになった。

 広島原爆忌の6日、麻生首相は原告の全員を救済する方針を表明し、被爆者団体の代表らとともに確認書に署名した。

 1審で原告が勝訴すれば、国は控訴せず判決を受け入れる。敗訴原告も、議員立法で基金を設けて救済を図る。今後は訴訟で争う必要が生じないように、国と被爆者団体などの定期協議の場で解決を図る――との内容だ。

 被爆者の高齢化が進み、平均年齢が75歳を超えていることを考えれば、いつまでも司法の場で争い続けるべきではない。妥当な決断と言えるだろう。

 救済策には民主党も一定の評価を示している。協力して議員立法などの具体化を急ぐべきだ。

 国が原爆症と認定しなかったことを不服とする被爆者約300人が全国で起こした訴訟は、19回の判決が出ており、大半の原告が勝訴している。

 これまで国は1審で敗訴しても控訴し、2審の判断が出るまでは争ってきた。今回の合意により、高裁で係争中の訴訟はすべて取り下げられる。まだ地裁段階の訴訟は判決を求めるものの、結果によらず原告は救済される。

 厚生労働省や法務省などは、裁判所も原爆症と認めなかった人まで救済対象とすることに難色を示したが、議員立法という形で乗り越えることになった。

 原爆症認定訴訟に決着をつけないまま衆院選に臨めば逆風がより強まる、との政治的思惑が政府・与党にはあったにせよ、思い切った方針転換である。被爆者団体の代表も「何十歩も前進した」と歓迎している。

 ただし、これで原爆症認定問題が全面的に解決した、とは言い切れない。

 今回の救済策は、係争中の原告だけが対象だ。原爆症認定の申請をして国の審査を待っている人は7000人以上いる。今後さらに増えるだろう。認定されなかった人が新たな訴訟を起こす可能性は残っている。

 そうしないために、国と被爆者団体などが定期協議の場で解決を図ることになったが、具体論は衆院選後の政権に委ねられた。

 審査の枠組みを見直し、現在より幅広く、迅速に原爆症を認定していくとしても、新たなルール作りは簡単ではない。政権の枠組みがどうなろうとも、超党派で取り組むべき重要課題となる。

2009年8月7日01時12分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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