HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Tue, 04 Aug 2009 21:18:35 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:ちょっぴり表情をこわばらせた六人が、法壇の後ろの扉から姿を…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年8月4日

 ちょっぴり表情をこわばらせた六人が、法壇の後ろの扉から姿を見せた。女性五人、男性は一人。刑事司法を大きく変える初めての裁判員裁判が三日、東京地裁で始まった▼制度の導入が盛り込まれた司法制度改革審議会の最終意見書が小泉純一郎首相に提出されたのは二〇〇一年六月。遠い未来の夢物語と感じながら取材をしたが、その日がついに訪れた▼99%を超える有罪率など刑事裁判の現状に「異議あり」と陪審制度の復活を求めた日弁連。刑事裁判に大きな問題はないとする最高裁、法務・検察とのせめぎ合いの中、「ヒョウタンから駒」(ベテラン刑事裁判官)のように生まれたのがこの制度だった▼なぜ導入されたのかを説明しにくいのは「妥協の産物」的な面が大きいためだ。ただ「調書裁判」に堕した刑事裁判は法廷でのやりとりを重視する本来のあり方に回帰するはずだ▼気になるのは、裁判所の硬直的な発想だ。東京地裁は「個人情報を出すことは想定していない」という理由で選任された裁判員の年代、性別を明かすことを拒んだ。市民の常識を生かすための制度導入ではないか。裁判員は記号でいいというのだろうか▼裁判員を「お飾り」にしないためには、重すぎる守秘義務を見直すことが求められる。六日の判決後には、記者会見が予定されている。重責を果たした晴れやかな笑顔を見たい。

 

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