HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57806 Content-Type: text/html ETag: "21f3a9-15ef-f091240" Expires: Sun, 02 Aug 2009 21:21:06 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 02 Aug 2009 21:21:06 GMT Connection: close 最低賃金 まだ残る生活保護との逆転 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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最低賃金 まだ残る生活保護との逆転(8月3日付・読売社説)

 厚生労働省の中央最低賃金審議会が、地域別最低賃金の今年度の引き上げの目安を示した。

 最低賃金が生活保護水準を上回る35県は据え置き、それ以外の12都道府県は、時給で2円から30円の引き上げを求める、という内容である。

 この結果、最低賃金は全国平均で7〜9円引き上げられ、時給で710〜712円、月収換算すると、税などを控除して約10万6000円となる。経済状況からすれば、踏み込んだ決着となった。

 ここ2年は平均14円、16円と2ケタ増が続いたが、目安を審議する際に参考にしている全国の小規模企業の賃上げ率は、今年はマイナスに転じていた。

 昨年は時給50円増を求めた労働側委員も、今回は具体的な上げ幅を示さなかった。経営環境の厳しさを承知していたからだろう。

 最低賃金法が昨年7月に改正され、事業主側の賃金支払い能力などに加え、新たに「生活保護との整合性」にも配慮して最低賃金を定めることが盛り込まれた。

 景気が悪くても施行2年目でこれを放棄しては、審議会の存在が問われるところでもあった。

 生活保護と逆転している12都道府県は、今回でそれが解消されるわけではない。東京都の場合、目安どおりアップすれば現状の時給766円から最大796円になるが、まだ時給で30円足りない。

 生活保護は市町村ごとに6ランクに分けて決められている。最低賃金は若年単身者の都道府県別の平均額と比較するが、最低賃金が据え置かれた35県の多くも、県庁所在地で比べると、生活保護の方が上回るとみられている。

 今後、中央審が示した目安を参考に、都道府県ごとに地方審議会が引き上げ額を決定し、10月から改定される予定だ。都道府県内のどの地域でも生活保護を上回ることを目標にしてもらいたい。

 生活保護の方が高ければ、最低賃金ぎりぎりで働く人の就労意欲は失われ、生活保護者は職を探す気にならないだろう。「生活保護との整合性」は、来年以降もしっかりと追求していくべきだ。

 パートなどの非正規労働者が増加し、安全網としての最低賃金制度の役割は増している。

 野党各党や公明党は衆院選の公約で「時給1000円」の最低賃金を掲げているが、学生アルバイトと母子家庭では同一に論じられないという側面もある。

 企業経営への影響を含め、最低賃金のあり方や決定方法の議論を深めることが重要だろう。

2009年8月3日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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