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IMF債発行 ドルの代替にはほど遠い(8月2日付・読売社説)

 国際通貨基金(IMF)が初めて債券を発行し、資金調達する。加盟国の融資に頼ってきたIMFには新たな一歩だ。

 この債券は、IMFが40年前にドルや金に準ずる通貨を目指して創設したSDR(特別引き出し権)建てである。

 SDRはドル、円などの加重平均で算出される合成通貨だが、ほとんど普及せず、計算単位にとどまっている。SDR金利は約0・3%で、IMF債の利息もこれに基づく低利となる見込みだ。

 そうした事情にもかかわらず、中国が500億ドル、ロシアとブラジルが各100億ドル購入する予定で、インドも検討中だ。

 BRICsがそろって大量購入するのは、SDRの基軸通貨化を期待してのことだろう。

 とくに熱心なのが中国だ。中国人民銀行の総裁は3月発表した論文で、SDRをドルに代わる通貨に育てる構想を表明した。

 外貨準備高が2兆ドルを超え、米国債の最大の保有国である中国にとって、ドルが急落すれば、資産が目減りしてしまう。資産運用の多様化は急務となっている。

 中国は米中戦略・経済対話で、ドル下落に対する懸念を表明した。SDR建てのIMF債購入は、ドルへの依存を減らしたい中国の意向に合致するといえよう。

 ロシア、ブラジルが同調した背景にも、新興国が結束してドルを牽制(けんせい)し、IMFなどでの発言力を高める狙いがうかがえる。

 しかし、SDRがただちに、ドルに代わる基軸通貨になると考えるのは非現実的だ。ユーロもまだ力不足で、ドルに代わる基軸通貨は見当たらない。ドル体制は当面、揺るがないとみられる。

 基軸通貨になる条件は、国際的な流動性があり、貿易などで幅広く利用されることだ。

 だが、IMF債の取引は、加盟国の政府や中央銀行などの公的部門に限定され、民間市場には流通しない。まず、SDRの用途の拡大や、SDR債の市場を育成することが課題となる。

 一方、SDR債の発行は、IMFの資金基盤の充実と、調達の手法を多様化する効果がある。

 IMFの機能を強化する一環として、融資枠を3倍に拡充する方針を盛り込んだ4月の金融サミットの合意にも沿う。

 昨秋以来の金融危機では、ウクライナなどがIMFの支援で救済された。危機は最悪期を脱したとされるが、迅速に対応するIMFの役割は重要だ。資金基盤の強化をさらに急ぐ必要があろう。

2009年8月2日01時46分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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