市街地の道路で、青色の街灯をよく見かけるようになった。青い光には人の気持ちを落ち着かせる効果があるとされ、犯罪抑止力を狙ったものだ。自殺防止用にJRも踏切などに導入しているという。
色のもつ効能はさまざまある。スペインの闘牛では赤い布が使われる。牛を刺激してあおるというより、闘牛士や観客を興奮させる意味があるそうだ。
岡山特産の桃でも活用されている。清水白桃などに象徴される「白い桃」のイメージを守るため、生育期に袋を掛けて色を調整する。袋を掛けないと、表面に色素が合成され赤くなるからだ。
単に袋を掛ければよいというものではない。ポイントは袋の色にある。岡山産独特のややクリーム色がかった白を生み出すのに試行錯誤が重ねられた。古新聞が使われた時期もあったが、今では主としてオレンジ色の袋が使われる。これが白い桃を作るのに最適とされる。
元来、桃の袋掛けは病害虫予防のために始まった。だが、農家にとって作業が手間取る上、農薬の改良などで全国的に廃れていった。「赤い桃」が主流にあって、岡山では「白さ」を守るのに袋掛けにこだわる。産地の意地だろう。
天候不順の影響が懸念されるが、シーズンも終盤を迎えた。白い桃に安らぎを覚えながら、最後まで楽しむとしよう。