HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 30 Jul 2009 21:19:04 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ラグビーW杯 『アジア初』どう生かす:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

ラグビーW杯 『アジア初』どう生かす

2009年7月30日

 ラグビー・ワールドカップ(W杯)の日本開催が決まった。もちろん朗報には違いない。ただ、それを実りある大会にできるかどうか、日本ラグビーの真価が問われるのはこれからだ。

 一九八七年以来、四年ごとに開かれているラグビーW杯。オリンピック、サッカーW杯に次ぐビッグイベントのひとつだ。一昨年、フランスで開かれた第六回は、予選を勝ち抜いた二十カ国・地域が熱戦を展開。世界で延べ四十億人がテレビ放映を見たとされる。

 今回、国際ラグビーボード(IRB)は二大会の開催地を決め、二〇一五年はイングランド、一九年が日本となった。画期的な決定と言っていい。イングランド、フランス、オーストラリア、ニュージーランドなど、八つの伝統国・地域以外でW杯が開かれるのは、一九年の日本が初めてなのだ。次回の一一年大会もニュージーランド。主要国が独占してきたW杯開催史に新たな一歩がしるされるのである。

 一定の地域に偏らない真のグローバル化を目指すうえで、日本開催の意義は深い。ラグビーが広く普及しているとはいえないアジアでの大会は、新たな時代への象徴ともなるだろう。

 国内でも普及、強化に大きく役立つのは間違いない。世界の頂点からはまだ遠い日本だが、W杯は飛躍への跳躍台となるはずだ。

 ただ、その裏にはいくつもの課題、難問が控えている。ラグビー人気にかげりが出て久しい中で、幅広い層にどれほど注目してもらえるのか。熱く盛り上がる大会にできるのか。これまでの伝統国開催では、自国の試合や強豪同士の対戦でなくとも多くの観客が集まり、プレーを楽しんだという。それがW杯というものなのだ。

 巨額資金調達などの難題もさることながら、盛り上がりを欠き、競技の魅力も十分に伝わらないのではそもそも開催の意味がない。日本ラグビー協会をはじめとする関係者にとっては、まさにこれからが正念場である。

 日本代表が活躍できるかどうかも重要な要素となる。過去六大会で日本はわずか一勝。大会成功のためにも普及のためにも、元気のいい代表チームは必須だ。これも協会にとっては重い宿題となる。

 画期的な決定をどう生かすか。アジア初開催の意義を国内外にどう伝えるのか。ここからが本当の勝負だということを、ラグビー界は肝に銘じなければならない。

 

この記事を印刷する