HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 31 Jul 2009 03:18:33 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:成人年齢18歳 対象ごとに深い論議を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

成人年齢18歳 対象ごとに深い論議を

2009年7月31日

 法制審議会(法制審)は民法の成人年齢を「十八歳が適当」との最終報告をまとめた。大人の定義変更は国民生活に影響が大きい。年齢制限のある法令は多く、対象ごとに深い論議が求められる。

 法制審の部会が民法の成人年齢引き下げについて検討するきっかけとなったのは、二〇〇七年五月に成立した国民投票法だ。

 この法律は憲法改正手続きを定め、投票年齢を原則十八歳以上とするが、付則で民法や公職選挙法に「必要な措置を講じる」ことを求めていた。

 二十歳成年は明治時代から続いており、引き下げは国民の意識や文化まで影響する大改革だ。

 十八歳と十九歳を大人に仲間入りさせることで若年層に大人の自覚を促す狙いがある。急速に進んでいる少子高齢化社会に活力を与えることにもなるだろう。

 諸外国の大半は成人年齢が十八歳以下という国際的見地から引き下げるべきだとの意見もある。

 このまま引き下げに進みそうな流れだが、個別にみていけばクリアすべき課題が少なくなく、約三百の法令が見直しを迫られる。

 法制審では悪徳商法の被害が広がる危険性が議論になった。自己の判断で高額商品を買ったり、不動産取引ができるようになれば、その懸念はぬぐえない。ネット取引が増えている時代であり、若年層消費者の保護策は不可欠だ。

 飲酒、喫煙は関係法が「二十歳」と明記しているため、そのまま連動することはないが、民法改正で自動的に年齢が下がることになる競馬などのギャンブルには、やはり制限が必要だろう。

 親の同意なく結婚できる年齢は男女とも十八歳となるが、多くの人は高校三年の途中で成年を迎える。成年と未成年が混在することに、教育現場は戸惑わないか。

 法制審が昨年十二月にまとめた中間報告は年齢引き下げについて「両論併記」だったが、国民投票法成立に動いた国会議員からの反発があり、最終報告では「引き下げが適当」と方向づけられた。

 報告は改正の時期について「国会が判断すべきだ」と国会に委ねた。次期政権の大きな課題の一つとなった。

 国会の場で広く議論するのは当然であり、衆院選で候補者には持論や見解を語ってもらいたい。

 来年五月の国民投票法施行は引き下げを急ぐ理由にならないし、ましてや、十八、十九歳の投票行動を予測しての党利党略から引き下げの賛否を決めてはならない。

 

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