HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 30 Jul 2009 20:18:33 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:米中新時代 発信力が問われる日本:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

米中新時代 発信力が問われる日本

2009年7月30日

 米国と中国は初の「戦略・経済対話」で、金融危機や気候変動など地球規模の問題で協力を誓い合った。日本の存在感が薄れると嘆くより、これらの課題に日本が何ができるか発信する方が賢明だ。

 二十七日から二日間、ワシントンで開かれた米中対話は両国が主導する「G2」時代の到来と言いたくなるほど異例ずくめだった。

 中国は二人の副首相級が率いて史上最大規模の百五十人の代表団が米国入りした。米国も外交・経済担当の閣僚が勢ぞろいした。

 開幕時にあいさつしたオバマ大統領やクリントン国務長官、ガイトナー財務長官がそれぞれ中国の名言、成句を引いて両国パートナーシップの大切さを強調した。

 日本の一部マスコミは、オバマ大統領が「米中で二十一世紀を形づくる」「米中関係がもっとも重要」と述べたと報じた。

 実際には大統領は「米中両国の関係が二十一世紀を形づくり、それは世界のいかなる二国間関係に劣らず重要だ」と述べている。

 注意深い言い回しは日本など同盟国に配慮したほか「米中両国があらゆる問題で合意できる幻想は持てない」(大統領)ためだ。

 対話終了後の共同発表文を見ても、金融危機や気候変動、核拡散防止、反テロなど今後、協力を深める課題を並べた感が強い。

 両国とも最大級の表現で対話の意義をうたいあげたが協力進展は、これからということだろう。

 世界の政治、軍事、経済で存在感が大きい両国が対立しては、二十一世紀に希望はない。その意味で対話の開始を歓迎したい。

 ただ、米国が繰り返してきた中国の軍備増強や人権問題への懸念表明を遠慮しているかに見えるのは疑問を抱かざるを得ない。

 米国の批判は中国の軍事大国化をけん制し人権状況の改善を促す「外圧」になってきた。中国の改革派にも、それを期待する声があることに注意を払うべきだ。

 米中関係の進展に日本の存在感が薄れると心配する声もある。しかし、オバマ発言に見られるように米中関係は価値観の違いや不信を前提に共通利益を目指し、日米関係とは質的に異なる。

 むしろ日本が金融危機や気候変動、核拡散防止などの課題に貢献できることを発信し、米中が日本の存在を重視せざるを得ない関係をつくることが重要だろう。

 米中新時代に日本が発揮する役割をめぐる論争も衆院選の重要なテーマにしなければならない。

 

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