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社説2 介護保険の抜本見直し急げ(7/31)

 厚生労働省は10月から介護保険の要介護認定基準を見直すことを決めた。4月に改定してからわずか半年で、74項目のうちの43項目を修正する異例の事態だ。

 4月の改定については、自治体や介護の現場から判定が軽くでがちだとの批判があった。実態に即したものに変えるのは当然だが、選挙を前に政治家の思惑に引きずられたのであってはならない。

 介護保険制度がスタートして9年がたつ。十分な介護を受けたいという利用者側の希望と、限られた財政の折り合いをどうつけるかは、今後さらに難しい問題になるだろう。

 介護職場で働く人の処遇の低さや人材不足、高齢者施設の不足などさまざまな問題も浮上している。これからの高齢者介護をどう支えていくかという問題について、そろそろ抜本的な議論を始める時期にきているのではないか。

 今春の認定基準の見直しについて、厚労省は「訪問調査員の主観が入らないように、目の前で確認できることを中心に判定を簡素化し、ばらつきをなくして公平化を目指す」と説明していた。

 介護保険の目的は必要な人が必要なサービスを利用できることだ。にもかかわらず、認定は要介護度が重いほど多くのサービスを受けられるため、高齢者を抱える家族や業者の中には実態以上に重い判定を望む人もいるとの指摘がある。

 一方で普段以上に自分を元気にみせ、必要な介護が受けられない高齢者もいる。客観的で公平な判定の必要性は変わらないはずで、その実現に努力すべきだ。

 増え続ける介護需要にこたえるためには、ドイツのように要介護度の軽い人を事情がない限り保険の対象から外し、重度の人の支援に特化すべきだとの意見もある。

 現状を維持して保険料徴収者(現在は40歳以上)の拡大や保険料の引き上げで支援の必要な人の希望をかなえる方向もあるだろう。こうした対応でもなお不十分で財源が不足するなら、自己負担(1割)の引き上げも選択肢の一つとして考える必要があるかもしれない。

 次の政権はこうした問題をどう解決するか。ビジョンを示すべきだ。

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