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社説2 米中は「G2」を演出したが…(7/30)

 米中両国政府が開いた戦略・経済対話は、世界経済の回復に向けた努力の強化や地球温暖化問題での協力、北朝鮮の核問題での協調などを打ち出した。地球規模の問題に米中が連携して取り組む「G2」の枠組みの始動を印象づけたが、具体的な成果を出せるかどうかは未知数だ。

 米中間では従来、経済問題を話し合う戦略経済対話と外交・安保問題に関する対話が別々に進められてきた。これを統合し格上げしたのが戦略・経済対話で、27〜28日にワシントンで初会合を開いた。

 米側はクリントン国務長官とガイトナー財務長官、中国側はマクロ経済担当の王岐山副首相と副首相級で外交担当の戴秉国国務委員が共同議長をつとめた。多数の重要閣僚や中央銀行総裁を含め出席者は中国側だけで150人に及び、2国間協議としては異例の規模になった。

 開会式で演説したオバマ大統領は「米中関係が21世紀を形づくる」と語りG2の重要性を強調した。ただ世界に貢献するG2となれるのか、今回の協議では見えてこなかった。

 閉幕後に発表された共同声明によると、世界金融危機からの脱却と両国経済の持続的な成長に向けて米国は経常赤字削減と貯蓄率向上につとめ、中国は内需主導の成長へ消費を振興すると、それぞれ約束した。

 いずれも両国経済の構造的な問題として長らく指摘されてきた課題である。遅きに失した感もあるが、外交文書で明記したのは一歩前進で、実行を見守りたい。

 米国が人民元切り上げを促したのに対し中国は「米ドルの下落こそ心配」とかわした。米国債の最大の保有国となった中国に強気に出られない米国の立場が、改めて浮き彫りになった。とはいえ長い目でみれば中国の内需主導の成長への転換のためにも切り上げは必要なはずで、さらに協議を深めるよう期待したい。

 地球温暖化問題では政府間対話の創設で一致したが、温暖化ガス排出に向けた具体策には踏み込まなかった。米中は温暖化ガスの二大排出国で、12月に期限を迎える温暖化抑制への新たな枠組み(ポスト京都議定書)の成否を左右する。地球環境と人類の未来への強い責任感をもって早急に協議を進めてほしい。

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