外資系保険会社アリコジャパン(東京)から保険料をクレジットカードで支払っている顧客の情報が大量に流出し、カードが不正使用された可能性が高いことが明らかとなった。
流出の可能性のある契約は当初発表の11万件から13万件へ、不正使用の可能性のあるカード会社からの照会件数は倍以上の約2200件に達した。警視庁は報告を受け、事実関係を調べている。
アリコは、内部から情報が漏れたか、外部からコンピューターに不正アクセスをされた可能性があると説明している。再発防止策を講じるとともに流出経路の解明を急がねばならない。
7月上旬から不正使用が始まったとみられ、家電製品など換金しやすい商品が購入されたケースもあった。不正使用が確認されたのは、2002年7月から08年5月までに通信販売で保険契約を申し込んだ顧客のうち、カードで保険料を決済し、証券番号の下1けたが2か3の契約者である。
アリコが設けた電話相談窓口には契約者の問い合わせが相次ぎ、一時は電話がつながらない状態となった。カードの情報さえ手に入れば他人の名前で何でも購入できるだけに、顧客の不安は当然だろう。解約を申し出る人もいる。信用が第一の保険業で起きてはならない事態だ。
企業を舞台とした個人情報の流出は後を絶たない。4月には三菱UFJ証券の元部長代理が148万人分の顧客情報を持ち出し一部を名簿業者に販売する不祥事が発覚したばかりだ。昨年はファイル交換ソフトを介しての流出も起きている。
アリコの情報流出は単なる一企業だけの問題ではない。大量の個人情報を扱う企業や自治体は常に点検を怠らず、厳重な管理が必要である。