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社説1 日米同盟の信頼向上こそ拡大抑止の要(7/27)

 日米両政府の外務・防衛当局の局長級による安全保障高級事務レベル協議(SSC)が米国が日本に提供する「核の傘」を含めた抑止力の強化を考えていくという。

 歓迎すべき動きである。このために必要なのは、信頼関係の向上であり、集団的自衛権の憲法解釈の変更など具体的成果である。

 日米同盟には、安全保障当局者による「事務方同盟」と呼ばれる時期があった。小泉政権時代には小泉・ブッシュ関係を軸にした「首脳間同盟」になったが、小泉氏の退任後、日本側で首相が1年ごとに代わり、ブッシュ政権による北朝鮮政策の変更もあり、すき間風が吹いた。

 それ以降は双方の事務当局がこれを補い、事務方同盟が復活したようにみえる。オバマ政権の発足早々、クリントン国務長官は最初の外国訪問先に日本を選んだ。オバマ大統領はホワイトハウスに招く最初の外国首脳に麻生太郎首相を選んだ。事務当局による助言の結果とされる。

 東京で開いたSSCはキャンベル国務次官補、グレグソン国防次官補の顔見せだったが、ふたりとも知日派である。核実験をした北朝鮮への対応など梅本外務省北米局長、高見沢防衛省防衛政策局長との間で実務的な議論をした。

 今後の日米関係は、政権交代も予想される衆院選挙の結果にも左右される。が、経済大国である日米両国の世界における責任を考えれば、基本的には継続性が重要である。

 SSCは、幅広い議論をしたらしい。注目されるのは、同盟国日本を守るための米国による拡大抑止のあり方である。作業部会を設けて議論するようだが、拡大抑止の基本にあるのは、日米双方が相手に対して信頼感を持つことである。

 このためには目の前にある懸案を片づける作業が重要となる。

 インド洋での海上自衛隊の給油活動の継続や沖縄普天間基地の移設だけではない。2000年の米大統領選挙の直前に米側が超党派でまとめたナイ・アーミテージ報告で求めた集団的自衛権の解釈の変更も信頼感の向上には欠かせない。

 衆院選挙での優勢が伝えられる民主党には外交・安全保障政策を現実路線にカジを切る兆しもあるが、まだ十分ではない。不安は残る。

 来年は現在の日米安全保障条約ができてから50年となる。50周年共同宣言をまとめるべきだとする提案もある。SSCも来年に向けた議論をしたようだ。安保50周年をいい雰囲気で迎えるためにも、信頼関係を具体的に高める措置が必要になる。

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