HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57730 Content-Type: text/html ETag: "fee15-15b3-725c2540" Expires: Mon, 27 Jul 2009 01:21:08 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 27 Jul 2009 01:21:08 GMT Connection: close 宇宙実験棟 実績が「きぼう」の夢をつなぐ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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宇宙実験棟 実績が「きぼう」の夢をつなぐ(7月27日付・読売社説)

 日本、米国、ロシアなど15か国が建設中の国際宇宙ステーションに、日本の実験棟「きぼう」が完成した。

 高度約400キロ・メートルにあり、大きさがサッカー場ほどのステーションの中でも、最大の設備規模を誇る。

 無重力環境を生かした実験に大いに活用して成果を上げたい。

 宇宙実験は従来、米スペースシャトルを利用するケースが多かった。このため、実験装置の大きさ、重さ、消費電力、期間などに、かなり厳しい制約があった。

 これで格段に余裕ができた。

 実験スペースはシャトルの2倍程度で、棚も多い。多数の実験を同時並行でできる。

 実験期間も、シャトルでは飛行期間とほぼ同じ2週間程度が上限だったが、「きぼう」なら数か月間でも続けられる。

 宇宙ステーションには6人もの飛行士が滞在しているので、実験装置の微調整や、複雑な操作に人手をかけることが可能だ。

 例えば、生物を使った実験ではその生物の全生涯や、世代を超えた影響さえ観察できる。結晶の製造も、時間をかけてやれば、一層高品質になるはずだ。

 「きぼう」では今月末から、実用化を目指す実験が始まる。インフルエンザなどの病原体のたんぱく質を結晶化する実験で、たんぱく質の構造解明に欠かせない。

 無重力下できれいな結晶にして地上で分析する。構造が分かれば、病原体をたたく新薬の開発につながるかもしれない。

 「きぼう」で行われる実験は、公募が基本だ。よりユニークな実験に挑戦するためにも、広くアイデアを募り、実現まで丁寧に支援することが肝要だ。

 また、アジア地域の国にも門戸を開放して実験すれば、関係強化に役立つだろう。

 設計着手から24年、シャトルの爆発事故による中断もあって長い道のりだった。製造費も本体だけで2500億円を費やし、その他の経費を加えると約6000億円かかっている。

 苦労が結実し、やっとスタートラインに立てた。だが、ステーション計画を主導する米国は、厳しい財政状況から、運用を2015年までとしている。「きぼう」の命運もあと5年ほどしかない。

 日本は、さらに5年の延長を提唱している。

 そのためにも、まずは実績を積むことだ。宇宙実験の夢を実らせ国内外の支持を得てこそ、「きぼう」の将来は開ける。

2009年7月27日01時36分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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