大阪空港で、先に到着していて待機すべき旅客機が、着陸直前の旅客機の滑走路を横切るという誤進入があった。幸い人命にかかわる事故には至らなかったが、決して看過できない重大なミスである。
発生は23日朝だった。鹿児島発日本エアコミューター(JAC)機が同空港に着陸しようとしたところ、先に到着していた仙台発JALエクスプレス(JEX)機が誤って滑走路を横切った。
国土交通省によると、平行に並んだ2本の滑走路のうちB滑走路に着陸したJEX機が駐機場に向かう際、管制官からJAC機が着陸するA滑走路手前で待機するよう命じられたが、パイロットは「横断する」と返答。管制官もその返答を聞き落としたという。
運輸安全委員会は事故につながる恐れのある重大インシデントに当たるとして、調査官を現地に派遣した。なぜJEX機が管制官の指示に従わなかったのかなど、原因を徹底的に究明してもらいたい。
それにしても、大阪空港はこの種のミスが多すぎる。2007年9月には日航機が管制官の許可が出ていないのに滑走路を横断。約1カ月後には全日空機が着陸許可が出ていない滑走路に着陸した。さらに今年3月には、離陸許可を得ていない全日空機の滑走路誤進入と、管制官が誤って離陸許可を出すトラブルが相次いでいる。
システムや空港の構造に問題があるのではないか。国交省は昨年1月、空港内の航空機の位置を管制官が正確に把握できる地上監視システムを10年を目標に羽田、成田の両空港に導入することを決めている。
大阪空港や交通量の多い他の空港でも、こうしたシステムの導入を真剣に検討すべきだ。