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飲み屋あたりで、襟の社章を裏返している人がたまにいる。有名どころに勤めている印も、夜は脱力を妨げる虫ピンだ。わが酔態で企業イメージを損ねまいという、戦士なりの戒めもあろう▼何であれマークには、二つの働きがある。「知らせる」と「見分ける」。前者の代表は、地位を表す議員や弁護士のバッジだろう。周りの都合でつける後者には、多数の負傷者が出た現場で、治療の優先順位を4色で示す札などがある▼高齢運転者の「もみじマーク」が見直されるらしい。75歳以上に義務づけたものの、差別だと反発されて努力義務に戻したあれだ。このドタバタで、「見分ける」ために社会に強いられている、という嫌悪がこびりついてしまった。「私はけが人じゃないぞ」と▼警察庁の聞き取りでも、枯れ葉のようで物悲しいとの意見が多かった。そこで、高齢より運転歴の長さを強調したデザイン、ベテランドライバーが誇れて、知らせたくなるようなマークを秋にも公募する。その上で今のと優劣を比べるという▼しばらく前、横断歩道を渡ろうとして「もみじ」にひかれかけた。他方、じれったいほど慎重な走りもあれば、渋いマナーに敬服することも多い。個人差は大きいが、高齢者の安全運転は「衰え」を自覚することから始まる。ここが肝要だ▼新マークの印象は、色や形より、つけた車の走りっぷりで決まる。事故が多発すれば、どれほど落ち着いたデザインも「危険車」の標識と化すだろう。ろくでもない議員や弁護士がいるように、印は印でしかない。