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政と官 官僚をリードする識見を持て(7月24日付・読売社説)

 国会議員が官僚をリードする政治本来の姿に戻すにはどうすべきか。

 今回の衆院選で、民主党は「官僚主導政治」からの脱却を掲げている。政権交代できれば、自民党流の政策決定方式を転換するという。

 民主党がやり玉に挙げているのが、政府・自民党の「二元的政策決定」だ。政治家主導の議員立法はあるが、政策の多くは官僚が法案化し、自民党の政調・総務会の了承を得て閣議決定される。

 この過程で「官僚依存」が定着し、族議員が業界利益を法案に反映させる「政官業の癒着」が生じるというのが民主党の見方である。

 このため、民主党は党政調会長を重要閣僚として入閣させ、党と政府の政策決定の一元化を図る。さらに各府省に100人余の政治家を送り込んで、大臣、副大臣、政務官の政務三役会議を開き、府省への指導性を強めるという。

 しかし、これで政府・党一体の政策決定はどこまで可能なのか。狙い通り機能させるには、官僚を自在に動かさねばなるまい。

 首相補佐官に代えて国家戦略スタッフを置く案もある。多数の政治任用によって、官僚の影響力を抑える狙いだろう。

 政権交代の度に局長級以上の幹部公務員が入れ替わるような、米国の政治任用が念頭にあるなら、それは日本になじむのか。猟官運動の弊害も指摘されている。

 自民党は、省益優先や縦割り行政を打破するため、国家公務員制度改革を進めてきた。

 通常国会には、幹部人事を一元管理する内閣人事局設置を盛った法案を提出した。各府省に委ねられてきた約600人の幹部人事を内閣官房で行うものだ。

 民主党の鳩山代表は以前、政権誕生時は、局長級以上に辞表を提出させると表明し、のちに撤回した経緯がある。政治による人事への過剰介入は、党派性を持ち込み、官僚の公正・中立性を(ゆが)める。あってはならないことだ。

 一方、公務員の側も、薬害問題での不作為や税金の無駄遣いなどで国民の批判を浴びてきた。

 政治家が提示する目標に従い、政策を着実に遂行するという公務員の本務に立ち返る時だ。

 その大前提として、行政の専門家である官僚を導く識見と能力が、政治家に求められている。

 政官関係の制度見直しに試行錯誤はあってよい。ただ、単純に欧米流を模倣せず、日本の実情を踏まえて検討されるべきだろう。

2009年7月24日01時22分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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