HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 24 Jul 2009 01:19:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ミャンマー 危険な『孤立への道』:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

ミャンマー 危険な『孤立への道』

2009年7月24日

 民主化運動弾圧で国際批判を浴びるミャンマー軍事政権に「北朝鮮と軍事交流を強めている」と米国が警告した。戦後日本が援助し続けてきた国だ。これ以上の孤立は危険だと忠告せねばならない。

 「北朝鮮の核技術が移転されることを恐れている」「両国の軍事協力は近隣の脅威」。タイ・プーケットでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議に出席したクリントン米国務長官が、ミャンマーへの新たな懸念を口にした。

 ミサイル部品や核関連物資を積んだ疑いで米国が追跡した北朝鮮船の目的地がミャンマーだったとの情報はあるが、軍政が核関連物資を入手した証拠はない。米国が民主化問題だけでなく、さらに厳しい視線を向け始めたといえる。

 米国は今回、内政不干渉や武力不行使などをうたうASEANの基本条約「東南アジア友好協力条約(TAC)」に署名した。クリントン発言は「民主化問題は条約で禁じた内政干渉」と言われても今後「地域に軍事的な脅威を与える」とミャンマーを追い詰める根拠になる。

 国際的に孤立した揚げ句の北朝鮮との闇取引などに走らぬためにも国際社会に“復帰”するしかない。それには民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんを一日も早く解放したうえで、公正に来年の総選挙を実施することだ。

 一九九〇年の総選挙で圧勝したスー・チーさんを軍政は何度も拘束、自宅軟禁して、現在は、外国人を許可なく自宅に泊めた罪で裁判にかけている。刑務所内の施設に収容しているが、今月、国連の潘基文事務総長がミャンマーを訪れ面会を求めたのに、拒否した。

 ミャンマーの安定は、この地域の安定と発展に不可欠である。今回のASEAN外相会議で、インドネシア外相が「スー・チーさんが解放されなければ、総選挙は自由で公正とは言えない」と、過去に例のないほどの強い口調で軍政を批判した。民主的な大統領選を成功させ、今や新興経済国に成長した国の発言だけに説得力がある。

 スー・チーさんの審理は二十四日にも結審し、近く判決が言い渡される見通しだ。かつて京都大でアジア史を研究するなど日本との縁も深いだけに自由の身になることを願いたい。

 軍政を説得するには、日本だけでは限界がある。ASEAN、経済制裁を強める欧米諸国、影響力を持つ中国を連携させる外交を日本にしてほしい。

 

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