HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 24 Jul 2009 03:19:06 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:JAL再建 国民にツケを回すな:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

JAL再建 国民にツケを回すな

2009年7月24日

 日本航空(JAL)に対する公的金融支援が決まってから一カ月余り。同社は再建計画の策定を急いでいるが十年間で三回もの支援に関係者はあきれ顔だ。国民にツケを回さぬよう全力を尽くせ。

 「JALは民間企業だが国民にとって大事な企業。異例とは思うがこういう措置をとった」。金子一義国土交通相は先月下旬、日本政策投資銀行による危機対応融資を決めた後の記者会見で言葉をかみしめた。

 昨年秋の金融危機と世界不況で同社の二〇〇九年三月期決算は大幅赤字だった。設備投資など約一千億円の資金調達が課題となり、政府は政投銀融資約六百億円を決めその八割に政府保証を付けた。民間主力三行も支援を決めた。

 またか、である。「日本を代表する翼」と称されながら同社の業績はこの十年間激しくぶれた。

 〇一年の米中枢同時テロ発生後の業績不振では約千五百億円、〇三年の新型肺炎(SARS)とイラク戦争発生でも約千百億円それぞれ政投銀融資を受けてきた。

 こんな“親方日の丸”経営を繰り返していては将来はない。かつての国鉄(現JR)や米GMと同様、破綻(はたん)は必至だ。そうなれば国民負担は避けられなくなる。

 公的支援を受けた以上、西松遥社長らには経営責任をきちんと果たす義務と責任が生じた。不退転の決意で取り組んでもらいたい。

 根本的課題は、やはり高コスト構造の改善である。人件費は過去十数年間で約六千億円削減してきたと説明する。だが客室乗務員などの平均年収をみると全日本空輸(ANA)よりもまだ高めだ。

 年間約四千億円もかかる燃油費の削減には、高値買いを避けるなどの工夫がもっと必要だろう。

 また燃料価格上昇で十月から国際線に燃油特別付加運賃(サーチャージ)を復活させる方向だが海外旅行機運を冷やすだけでなく訪日外国人拡大にもマイナスだ。

 日航は八月末をめどに経営改善計画を策定する予定である。廃止・減便を中心に国際・国内旅客部門の立て直し、貨物部門の改革、特別早期退職の実施など大胆なコスト削減策が柱となる見込みだ。

 同社は毎日約千百便、国内・国際線計約十五万人(〇七年度)を運ぶ重要な交通機関。ANAと料金やサービスを競い合ってこそ利用者の利益が確保される。

 安全第一で最良のサービスを提供する会社に変えていくことに、西松社長は進退を懸けるべきだ。

 

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