美作市南部で発生した猛烈な突風の被害には驚くばかりだ。割れたガラスで2人が軽傷を負い、民家2棟が全壊したほか、瓦が飛ぶなどの一部損壊は72棟に上った。岡山県内の突風被害としては過去最大である。
岡山地方気象台は「竜巻の可能性が高い」と発表。主な被害が長さ約1・5キロ、幅100メートルの帯状に分布し、突風の発生時間が短く、風向きが急激に変わったことなどがその理由だ。
風の強さを6段階で示す「藤田スケール」では、弱い方から3番目のF2だが、民家とは別に農機具小屋や倉庫など11棟が全壊・一部損壊し、車11台が損傷。約100メートル先の田んぼに飛ばされた軽乗用車もあった。すさまじい破壊力である。
市は家屋が壊れて行き場のない2世帯に対し市営住宅への一時入居を認めるとともに、被災者に災害見舞金を支給した。被災者宅を職員が訪問するなど心のケアも始めている。今後、住宅の改修資金なども必要となろう。国や県とも協議し万全な支援を行ってほしい。
竜巻の発生は予測が難しい。気象庁は昨年から竜巻注意情報の提供を始めたが、今回のケースでは発令が竜巻発生とほぼ同じ時間で県全域を対象としていたため、豪雨情報のように気にかける人は少なかったろう。
気象庁は精度を上げるため、来年度中に10キロ四方の範囲で竜巻のピンポイント予報ができるシステムを導入する。竜巻発生の情報を避難に生かせる場面は増えるだろう。住民に情報が迅速に届くよう自治体側での対応も重要だ。
災害から身を守るためには気象の知識を深めておきたい。黒い雲が近づき、雷鳴が聞こえ、冷風が吹けば、突風発生の兆候である。天候の変化に注意を怠らないことが大切だ。