HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Wed, 22 Jul 2009 23:19:16 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:コロンブスは一五〇三年、四度目の航海で船を損傷させてしまう…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年7月23日

 コロンブスは一五〇三年、四度目の航海で船を損傷させてしまう▼その際、たまたま月食になることを利用して先住民をおびえさせ、自分の力で月を“復活”させたように装って、一行の世話を続けさせたのだという(フィリップ・プレイト著『イケナイ宇宙学』)▼同書によれば、この話を下敷きにした小説がマーク・トウェーンにある。中世にタイムスリップした旅行者が月食ならぬ日食の知識で、危うく火あぶりの刑を免れる話だそうだが、グアテマラ人作家アウグスト・モンテロッソの短編『日食』は似て非なる展開▼グアテマラのジャングルで先住民に捕まった宣教師は、やはり、たまたま日食になることを思いだし、その知識を使って脅す。ところが彼らは少しも驚かず、哀れ宣教師はあっさり生贄(いけにえ)に…▼マヤ文明は日食や月食の時期を正確に予測できていた。だから、先住民は既にそれを承知していたのである。西洋文明的な独善への皮肉とも読めるが、何かの自然現象を予(あらかじ)め知っているということは、それ自体、力だということだろう▼きのうは日本でも日食が観測できた。曇天のところが多かったようだが、それでも、かなりの人が雲の切れ目で部分日食を楽しめたのではあるまいか。それも、どこそこでは何時何分に食が最大などと予め分かっていたからこそ。でなければ気づきもしなかったかもしれない。

 

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