政治の世界は一寸先は闇といわれる。かつて「ハプニング解散」が起きたことがある。1980年、衆院本会議で大平内閣不信任決議案がまさかの可決。大平正芳首相は衆院解散を決断し、史上初の参院との同日選に突入した。
内閣不信任案が可決されたのは、自民党非主流派が本会議を欠席したためだった。党内の混乱が思いがけない事態を招いた。同日選は大平首相の急死という予想外の出来事が重なり、両選挙で自民党の圧勝となった。
今回の麻生太郎首相による衆院解散は、反麻生勢力の麻生降ろしが活発化したものの、ハプニングは起きなかった。衆院選日程も首相の予告通り「8月18日公示―30日投開票」に決まった。
解散すれば公示まで間を置くべきではないと思うが、先送りした。事実上スタートした選挙戦は、投票まで40日もある。夏バテしないか心配になる「間延び解散」だ。
先の東京都議選の結果をみると、政権交代を訴える民主党に勢いがある。惨敗した自民党は、解散前に両院議員懇談会を開いて麻生首相が一致結束して選挙戦に臨むよう要請したが、一枚岩になれたかどうか。
衆院本会議では、河野洋平議長が解散詔書を読み上げるとバンザイの声が響いた。自民党にとっては「バンザイ突撃、玉砕解散だ」との厳しい見方がある。