HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 59841 Content-Type: text/html ETag: "21ab24-1da5-c59c0c80" Expires: Tue, 21 Jul 2009 20:21:06 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 21 Jul 2009 20:21:06 GMT Connection: close 衆院解散 政策本位で政権選択を問え : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

衆院解散 政策本位で政権選択を問え(7月22日付・読売社説)

 衆院が21日、解散された。衆院選の日程は、8月18日公示、30日投開票だ。自民、公明両党の現政権の継続か、民主党を中心とする新政権の誕生か。これが最大の焦点になる。

 しかし、単に政権の争奪だけに目を奪われてはなるまい。

 「政権交代」の是非の前に、各政党が掲げる主要政策とその実行能力が問われている。

 投開票までは40日間という長丁場だ。有権者はその間、各党の政策を十分吟味してもらいたい。

 ◆政治の安定をどう築く◆

 衆院選を前にした各種世論調査では、民主党の支持率が自民党を上回るなど、民主党優位が伝えられている。

 民主党の鳩山代表は「第1党で政権交代」を目標に掲げている。民主党は、衆院で過半数を制しても、参院で単独過半数を確保していないため、社民党や国民新党と連立政権を組むという。

 これで安定した政治を行うことができるのかどうか。

 一方、自民、公明の与党はこれまで、衆院の3分の2以上の多数による再可決で、「ねじれ国会」をしのいできた。今回の選挙で、これだけの議席を確保することは不可能だろう。

 いずれにしても、衆参両院による意思決定をいかに円滑に進めるかという難題が、政治に突きつけられることになる。

 ◆明確な国家像を示せ◆

 今、多くの国民は、不況に苦しみ、少子高齢化社会への不安を募らせている。対外的には、軍事大国化する中国や核武装を急ぐ北朝鮮など、我が国周辺の安全保障環境の悪化を懸念している。

 各党は、国民の不安解消に向けた処方(せん)を示す必要がある。

 今回も、政権公約(マニフェスト)が注目されている。

 確かに、政権公約で政策の達成期限や数値目標を示すのはいい。だが、より重要なのは、日本をどのような国にしていくのかという「国家像」の提示である。

 鳩山代表は、21日の両院議員総会で、「明治維新以来の官僚主導政治」からの転換を強調した。

 だが、「政治主導」を実践するといっても、官僚を説得して動かすだけの政治力が伴わなければ、混乱するだけだろう。

 民主党は、政権公約に「子ども手当」やガソリン税などの暫定税率廃止、高速道路の原則無料化などの政策を盛るとしている。

 ◆政策に財源の裏付けを◆

 だが、無駄遣いの排除などで、これらの財源を捻出(ねんしゅつ)できるのか、はなはだ疑問だ。

 岡田幹事長は「財源なくして政策なし」と語っている。民主党は、財源を明示し、国民の合点が行く政権公約を作り上げるべきだ。

 政権公約は、各党とも有権者の歓心を買うものになりがちだ。だが、そのツケはいずれ有権者に回る。大衆迎合的な公約を競うことは、避けなければならない。

 民主党は、インド洋での海上自衛隊による給油活動など国際平和協力活動に反対姿勢を示してきた。ただ、最近になって、鳩山代表は、給油活動を当面、継続する考えを表明した。

 政権交代を視野に入れ、外交の継続性から現実的方向に政策転換するのは当然のことだ。

 だが、社民党の福島党首は反発した。基本政策で隔たりがある社民党との連立政権は、極めて難しい運営を迫られるだろう。

 一方、自民党は、政権公約作りが遅れている。党内の混乱と政策上の路線対立からだ。一部に、独自の公約を掲げて選挙を戦う動きもくすぶっている。

 麻生首相は、21日の両院議員懇談会で、自らの失言や政策をめぐる発言のぶれについて、反省の意を表明し、東京都議選など地方選の連敗についても、陳謝した。

 遅すぎる。政策のぶれに関して謝るべき相手は、誰よりも国民であることを忘れてはなるまい。

 自民党にとっても、肝心なのは政策だ。世界同時不況の下で、政府・与党が打ち出した矢継ぎ早の経済対策の検証が重要である。

 首相は、衆院解散を決定した閣議で、「安心で活力ある社会を実現しなければならない」と決意を表明した。

 ◆「責任政党」が試される◆

 「責任政党」を標榜(ひょうぼう)するなら、消費税率引き上げなどについて、明確な方針を打ち出すことが必要だ。「4年間は消費増税しない」としている民主党との対立軸の一つになるだろう。

 各党は、事実上の選挙戦に入った。年金、医療など社会保障や、新たな日米関係をはじめ、対北朝鮮など安全保障問題についても、政策論を戦わせてほしい。

 自民、民主両党のどちらに「政権担当能力」があるかは、そこから(おの)ずと見えてくるはずだ。

2009年7月22日01時29分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です