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天声人語

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2009年7月22日(水)付

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 テニスの大御所、マルチナ・ナブラチロワさんの至言とされるものがある。〈勝ち負けは重要でないと言うのは、たいてい負けた方ね〉。プロなら優勝や賞金の多さを誇るべきで、真剣勝負の修養やら何やらは二の次というわけだ▼身もふたもないが、四大大会の女子シングルスを18回制した人の意地だろう。勝たねば存在が揺らぐのは、国会議員も同じである。麻生首相がようやく衆院を解散し、とりあえず全議員が「ただの人」になった▼敗れるのも人生修行というおめでたい政治家はいない。では、麻生おろしで「あんたじゃ大負け」と息巻いた議員らは、いかなる感情と勘定の下に沈黙したのやら。赤じゅうたんに戻るという個々の執念は、巨大政党を内から崩しもすれば、折れかけた柱にしがみつかせもするらしい▼無理やり「ガンバロー」で収めたような議員懇談会に、傾きかけた企業の株主総会を思った。はたして立て直すエネルギーは残っていようか。結党54年。人気知事が連発する「自民党さん」が「自民倒産」に聞こえるこのごろだ▼とはいえ今の自民党は、民主党が繰り出す「心地よい政策」を問いただす役回りを期待されている。野党になる練習とは言わない。政策を競わず、磨き合わずして二大政党の意味はなかろう▼7月解散、8月選挙は戦後初めてとなる。政権を選べる未体験イベントには、受け身の観衆ではなく、無名でも有権者というプレーヤーで参加したい。待ちくたびれ解散を、夏だれ選挙にはしまい。約4年ぶりに手にしたサーブ権である。

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