HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 57483 Content-Type: text/html ETag: "1040ee-15c9-bafb4840" Expires: Mon, 20 Jul 2009 21:21:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 20 Jul 2009 21:21:13 GMT Connection: close 皆既日食 宇宙を楽しむ絶好の機会だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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皆既日食 宇宙を楽しむ絶好の機会だ(7月20日付・読売社説)

 今世紀最大とも言われる天文ショーだ。見逃す手はない。

 太陽が月の陰にすっぽり隠れる皆既日食が、22日に起きる。

 見て楽しむだけではなく、地上でも「体感」できるところが、他の天文現象とは違う。

 空が暗転すると、コロナに縁取られた黒い太陽が出現する。

 地平線が赤みを帯びてくる。星が輝き始める。さっと気温が下がり、夜になったかと勘違いした鳥たちが大慌てで巣に戻る。草むらの虫も鳴き始める。

 日本の陸地で観測できるのは46年ぶりだ。観測条件もいい。午前から正午にかけてなので、明暗の変化がはっきり分かる。皆既の時間も長い。通常3〜4分だが、今回は最長で6分半を超える。

 直接、観測できるのは、鹿児島県トカラ列島など南の島々などに限られる。だが、各地で太陽の一部が欠ける部分日食が見える。今回は欠ける面積も大きい。雰囲気は十分、味わえるはずだ。

 各地のプラネタリウム、科学館では、皆既日食の中継もある。

 今年は、ガリレオが初めて望遠鏡で天体を観測してから400年にちなんだ「世界天文年」だ。専門家たちが宇宙のPRに力を入れている。中継もその一環で、高速の衛星通信を使うなど高度な試みも多い。インターネットによる配信企画も複数ある。

 もう、小中学校が夏休みに入ったという地域もあるだろう。ならば親子で観察してもいい。部分日食でも、皆既日食の中継でも、いい思い出になるはずだ。

 宇宙飛行士の毛利衛さん(61)は46年前、高校1年生の時に皆既日食を見た。その経験を、「人間にはどうしようもない大きな力で宇宙は動いている。不思議な気持ちに包まれた」、と本紙のインタビューに語っている。

 この思いが毛利さんを科学者へ宇宙飛行士へと歩ませた。「宇宙の力」は人間をも動かす。

 ただ、日食の太陽を肉眼で見上げるのは禁物だ。有害な光線が目を傷める。以前は定番の黒い下敷きなども今では有害な光線を完全に防ぐ効果はないとされる。市販の観測用グラスを用意したい。

 専門家も注目している。太陽本体が隠れると、表面から漏れる輝きが精密観測できるためだ。特に今、太陽は、黒点の減少など100年ぶりの活動停滞期にある。素顔に迫る絶好の機会という。

 観察会などでは、こうした突っ込んだ話も出るはずだ。好奇心を高めておけば、なお楽しい。

2009年7月20日01時43分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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