HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 20 Jul 2009 21:19:18 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:北朝鮮制裁 監視は核技術流出にも:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

北朝鮮制裁 監視は核技術流出にも

2009年7月20日

 国連安保理の委員会が北朝鮮高官らを渡航禁止対象として指名した。核実験に対する制裁は厳しさを増している。核開発に歯止めをかけるためだが、北朝鮮からの核技術流出も厳しく監視すべきだ。

 国連が北朝鮮の個人に対して渡航禁止を科すのは初めて。対象は政府機関である原子力総局の総局長や、核物資調達の責任者とみられる貿易会社社長ら五人。

 北朝鮮が海外から核関連物資、特にウラン濃縮に関連した機材や部品の調達を防ぐのが目的だ。中国とロシアは制裁対象の人数を絞ることで妥協した。北朝鮮と人の交流が多い両国には着実な制裁実行を望みたい。

 核技術者らの渡航禁止は、北朝鮮が保有する核、ミサイル技術が他国へ流出、拡散するのを防ぐという狙いもある。

 二大核保有国の米ロは戦略核弾頭の具体的な削減数を定めた。だが新興国への核拡散の恐れは広がるばかりだ。とりわけ核実験をし、弾道ミサイルの技術を確立した北朝鮮が中東のいくつかの国と軍事協力をしている事実は懸念材料である。

 北朝鮮は一九八〇年代にはスカッドミサイルをイランに売却し、その後もミサイル、さらには核開発でも協力しているという疑惑が晴れない。

 シリアにも弾道ミサイルを輸出していた。二〇〇七年にはイスラエルがシリア東部に建設中の原子炉を空爆したといわれる。米国の分析ではこの施設はプルトニウム抽出を目的とした黒鉛炉であり、北朝鮮が建設に協力したという。

 イランやシリアが北朝鮮核技術者らの渡航禁止にどこまで協力するか、国際社会の監視が必要だ。

 北朝鮮が最初の核実験をした〇六年と比べ、今回は国連加盟国が制裁に迅速に取り組んでいる。米国が北朝鮮船舶の貨物検査や金融制裁を呼び掛け、東南アジアでもマレーシアなど協力を約束する国が出てきた。

 金正日総書記の健康が悪化する中で、北朝鮮は「核保有国」の地位を固めて、体制を引き締めようと必死のようだ。今月四日には弾道ミサイル七発を日本海に向けて連射した。

 しかし軍拡一辺倒では、北朝鮮が必要とする食糧、経済支援は先細りするばかりだ。国民が近い将来、飢餓に直面するとの深刻な予測もある。

 まず核開発とミサイル実験を凍結して、周辺国と対話する機会を探るべきだ。

 

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