HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 18 Jul 2009 22:18:49 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:ユドヨノ新体制 アジア安定に貢献を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

ユドヨノ新体制 アジア安定に貢献を

2009年7月18日

 再選されたインドネシアのユドヨノ大統領の二期目が始まる。早々にテロとみられる爆発事件があったが、同国を復活させた手腕は信任を得た。新興大国としてアジア安定への貢献も期待したい。

 同国の人口は二億三千万人で中国、インド、米国に次ぎ世界で四番目。九割がイスラム教徒で世界最大の「イスラムの国」だ。

 この国で、有権者が直接投票する大統領選は五年前に続き二回目だった。民主主義をいかに進めるかがなお課題のイスラム世界の現状を見れば、混乱なく実施されたこの大統領選の意義が分かる。

 ユドヨノ大統領は軍人出身だ。国民に支持された背景には、権力者層にはびこる汚職に親族さえ逮捕して撲滅に乗り出したクリーンさと、堅実な経済運営がある。

 一九九七年のアジア金融危機で通貨ルピアが大暴落し経済は破綻(はたん)状態となった。三十年以上権力の座にいたスハルト大統領は身を引き、その後短命政権が続いた。

 大統領は、この国の「失われた十年」といわれる時代を終わらせ、年6%前後の経済成長を続け、今は主要二十カ国・地域(G20)の首脳会合(金融サミット)に加わるほどである。

 だが経済成長の陰で、国民の四割が一日二ドル以下で暮らす現実は残っている。格差と不安を浮き彫りにしたのが、首都ジャカルタ市内の二つの米国系ホテルで多数が死傷した今回の連続爆発事件だ。

 二〇〇二年のバリ島爆弾テロなどを起こしたイスラム過激派ジェマ・イスラミア(JI)は、徹底した取り締まりで鳴りを潜めていた。今回の事件の背景は分からぬが、こうした過激派の温床となる貧困対策は急務である。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は今、国内問題で精いっぱいの政権が多い。タイは現政権派とタクシン元首相派との対立が続く。まとめ役はインドネシアしか見当たらない。国際社会の期待もより高まろう。米国はオバマ政権発足早々、クリントン国務長官が訪れユドヨノ大統領と会談するなど重視の姿勢だ。

 日本は、天然ガスなど資源が豊富なインドネシアの最大の貿易相手かつ援助国だ。経済連携協定(EPA)を結び、看護師・介護福祉士候補を受け入れている。

 しかし、日本が国連の常任理事国入りに手を挙げてもユドヨノ大統領から支持を得られなかった苦い教訓がある。経済だけでなく、より幅広い信頼関係を築く時だ。

 

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