HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 18 Jul 2009 02:19:19 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:こつぜんと姿を消した東京都足立区の若い女性教師。それから二…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年7月18日

 こつぜんと姿を消した東京都足立区の若い女性教師。それから二十六年がたった二〇〇四年のことだ▼同じ小学校の警備員だった男が警察に自首し、絞殺してのちずっと自宅の床下に遺体を埋めていたことを認めた。自宅が立ち退きを余儀なくされ発覚を覚悟したためだった。当時、殺人罪の時効は十五年(現在は二十五年)▼当然、男は、起訴されなかった。三年前、本紙記者の取材に遺族の一人はこう語った。「犯人は悠々と年金生活を送っている。法治国家でこんな“殺し得”があっていいのか」▼こうした被害者家族の感情、それに心を寄せる世論の強まりを意識したということだろう。公訴時効のあり方を検討してきた法務省の勉強会が、きのう、殺人罪や強盗殺人罪の時効を廃止すべきだとする最終報告書をまとめた▼早ければ年内にも法制審議会に諮問されるが、難しい問題もある。証拠資料の長期にわたる保管や、無理のない捜査態勢を確保できるのか。犯行から何十年もたってからの立証や弁護の困難さも指摘されている。“情”と“理”の間でさらに議論を深めるほかない▼日本のテレビでも放映されている米人気ドラマ『コールドケース』では、タイトル通り、長期の未解決事件を担当する刑事たちが何十年も前の難事件でも一時間以内で解決してくれる。残念ながら、現実はそう簡単にはいかない。

 

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