HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 58156 Content-Type: text/html ETag: "feea4-164b-439900c0" Expires: Thu, 16 Jul 2009 23:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 16 Jul 2009 23:21:09 GMT Connection: close 緒方元長官判決 国民への背信が断罪された : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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緒方元長官判決 国民への背信が断罪された(7月17日付・読売社説)

 やはり自らの経歴を利用した詐欺だった。元公安調査庁長官の緒方重威(しげたけ)被告に、東京地裁が有罪判決を言い渡した。

 緒方被告は元不動産会社社長らとともに、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)から4億8400万円と東京都内の朝鮮総連中央本部の土地・建物をだまし取った、と認定された。

 緒方被告は高検検事長などを歴任した元検察幹部でもある。判決は「法曹界で要職を務め、責任ある行動を期待される立場にあったのに、信頼を大きく裏切った」と批判した。当然の指摘だろう。

 総連は整理回収機構から627億円の返還訴訟を起こされ、判決を控えていた。敗訴すれば中央本部の土地・建物も差し押さえや競売の可能性があり、それを避けるため、将来買い戻しに応じてくれる売却先を探していた。

 元社長を通じ、これに介入したのが緒方被告だった。

 緒方被告は、中央本部の土地・建物が在日朝鮮人の重要な拠点だから人道的観点で協力した、と無罪を主張した。しかし、判決は「動機は利欲的で、総連側が強制競売を回避したいと切望していたのにつけ込んだ」と断罪した。

 事件は日本の情報機関である公安調査庁の対外的な信頼を大きく失墜させた。緒方被告は最終意見陳述で、総連関係者に「多大な迷惑をかけた」と語ったが、謝罪すべき相手は国民ではないか。

 疑惑発覚当初、東京地検は、総連と緒方被告側が一体となった仮装売買や強制執行妨害の疑いがあるとみて捜査を進めた。

 だが、緒方被告らの逮捕時には総連が一転して詐欺事件の「被害者」になった。判決も同様に認定したが、不可解さはなお残る。

 忘れてならないのは、中央本部の土地・建物を手放さざるを得ない事態に陥った原因は、総連自身にあるという点だ。

 乱脈融資などで在日朝鮮人系の16の信用組合が破綻(はたん)し、その処理のため公的資金が1兆円以上つぎ込まれた。国民の税金である。

 機構が訴訟で返還を求めた627億円は、実質的には他人名義や架空名義を使った総連への融資だった。判決では全額返還が命じられ、すでに確定している。総連は早急に返還すべき義務があるが、果たしていない。

 中央本部の土地・建物の場合、所有権は登記上、朝鮮中央会館管理会になっているが、機構は、実際には総連にあるという確認を求め、提訴している。債権回収は厳正に進めていかねばなるまい。

2009年7月17日01時41分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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