HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 17 Jul 2009 00:19:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:中国景気回復 リスクはらむ投資頼み:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

中国景気回復 リスクはらむ投資頼み

2009年7月17日

 中国の今年四〜六月期の経済成長率が7・9%に回復した。世界経済が振るわない中、成長市場として期待されている。だが、相変わらず投資拡大に頼る成長は格差の広がりなどリスクもはらむ。

 米欧、日本がマイナス成長に陥り世界が中国経済に注目している。日本にとっても中国は米国を上回る最大の輸出先になった。その動きが景気回復も左右する。

 中国の国内総生産(GDP)の実質成長率は、昨年四〜六月期まで前年同期に比べ二けたを維持していた。

 しかし、七〜九月期に一けたに転落した後、十〜十二月期、今年一〜三月期と6%台が続いた。

 景気対策の本格化で四〜六月期に7・9%に反転し上半期の成長率は7・1%に達した。政府目標の年8%成長も射程に入った。

 景気底打ちを物語るように、上半期の新車販売台数は約六百十万台で世界一に。トップの外貨準備高も二兆ドルを突破する(六月末)など景気のいい話が増えた。

 しかし、手放しで喜んではいられない。景気回復は政府が昨秋、金融危機対策として打ち出した四兆元(約五十五兆円)の投資拡大を前倒しした効果が大きい。

 成長維持が至上命令となり、中央・地方政府や国有企業などが制限されていた鉄道、道路、開発など公共事業を一斉に拡大した。

 総量規制されてきた銀行融資も昨年十一月から拡大が促された。今年上半期の銀行融資残高は昨年一年間の一・四倍に当たる七兆元(約百兆円)に達した。

 融資は株や不動産市場にも流れ込んでいるといわれ、相場は活況を取り戻してきた。それを目当てに海外からの資金も流入し、外貨準備高を押し上げた。

 中国では株や不動産など資産値上がりが都市富裕層を中心に消費ブームを呼んできた。景気回復も、これを再現している。

 投資と並んで経済発展の両輪だった輸出は、今年上半期は前年同期に比べ二割以上も下降し、反転の動きは見られない。

 輸出の不振は沿海の輸出産業で働いてきた農村出身労働者の雇用を直撃し、失業問題は深刻だ。景気回復は今のところ、もたらした恩恵が偏り格差の縮小よりも拡大を招いているようだ。

 政府は農村の民生と社会福祉に力を入れ、内需を拡大することを四兆元投資の重点としてきた。

 この「公約」を実現することが、景気回復を内需主導の持続的発展に結び付けるカギだろう。

 

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