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社説2 環境技術が促す自動車再編(7/17)

 トヨタ自動車がマツダにハイブリッド技術を供与する交渉を進めていることが明らかになった。環境技術の大切さは前々から指摘されたが、トヨタのハイブリッド車「プリウス」が6月の国内販売ランキングで首位になるなど、エコカーの品ぞろえが日々の販売競争に直結する時代になった。

 今の自動車市場は、2004年前後のテレビ市場と共通点が多いのではないか。長年続いたブラウン管の時代が終わり、液晶などの薄型テレビが予想以上のスピードで普及した時期だ。当時、ブラウン管にこだわったソニーなどが失速し、薄型パネル技術に注力したシャープや韓国サムスン電子が存在感を拡大した。

 環境技術をめぐる自動車産業の現状も、これに似ている。ガソリンなど石油を燃焼するエンジンだけがクルマの動力源だった時代は終わり、多様なエコカーが登場している。

 国内ではトヨタとホンダの2強がハイブリッド車の販売でしのぎを削る。日本政府の打ち出したエコカー購入支援策も追い風になって、市場拡大に弾みがついた。海外メーカーも電気自動車やプラグイン型と呼ばれる充電できるタイプのハイブリッド車の開発を進めている。

 環境技術で出遅れた企業や、単独では開発負担が重すぎる企業にとって、他社との提携は待ったなしの課題だ。薄型テレビが売れているのに「当社はブラウン管だけ」では経営が成り立たないのと同じだ。

 トヨタのようなハイブリッドで先行した企業にとっても、提携先を広げれば、量産効果でコストダウンを進められる利点がある。自社の技術が広く採用されれば、業界標準の座も狙いやすくなるだろう。

 自動車業界の提携地図が流動化している大きな理由の一つは、米大手自動車3社の弱体化である。マツダは長年米フォード・モーターと提携してきたが、資金繰りに苦しむフォードがマツダ株の一部を手放すなど先行きは不透明になっていた。

 ゼネラル・モーターズ(GM)もスズキやいすゞ自動車の株式を売却した。GM傘下の独オペルも新たな再建スポンサーを探している。環境技術を軸に、世界的な自動車再編が加速するのは必至だ。

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