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社説2 地方分権の覚悟が問われる(7/16)

 全国知事会が衆院選に向けた自民、公明、民主の3党のマニフェスト(政権公約)について地方分権に関する部分を点数化し、公表する方針を決めた。大阪府の橋下徹知事と宮崎県の東国原英夫知事が求めていた政党支持の表明は見送った。

 衆院選に向けた行動の強化は5月の知事会議で両知事が提案していた。全国の知事の考えや支援団体は異なるのだから、知事会として支持政党を絞れないのは当然だろう。一方で、公約を点数化して優劣をはっきりと示せば、実質的に政党支持を表明するのと同じような効果がある。橋下知事が14日の会議で早々と矛を収めたのもこのためだろう。

 知事会は各政党の公約を8項目に分けて評価する。地方にかかわる問題について、国と地方が協議する組織を法律に基づいて設けるかどうかに、最も力点を置いている。

 知事会が従来にない方針を決めたのは分権改革が停滞しているためだ。政府の地方分権改革推進委員会は自治体への権限移譲や国の出先機関の統廃合を求める勧告を出したが、実現するめどは立っていない。

 国の直轄事業の見直しについても政府は及び腰だ。6月に決めた「経済財政改革の基本方針(骨太方針)2009」では「情報開示の充実等必要な措置を講じる」とあるだけで、見直しに消極的な国土交通省などの意向をそのまま反映している。

 知事会が各党の分権への本気度を試すことになるが、知事会の要望には「地方消費税の充実」など簡単には実現できないものもある。自民も民主も党内で要望を吟味し、しっかりと議論したうえで、責任ある政権公約を作ってほしい。

 自治体側も覚悟がいる。例えば、国道などの維持管理費の地方負担分を国が肩代わりすれば、道路建設に充てる国の予算がその分減る可能性もある。権限も財源もほしいが、道路はこれまで通りに国が造れ、というのでは虫が良すぎる。分権が進めば国民にどのような利点があるのか具体的に示す努力も欠かせない。

 国政転出に意欲をみせる東国原知事に地元で批判が多いのも、任期途中で仕事を投げ出すのかと住民に映ったためだろう。知事としてすべき仕事はまだまだ多いはずだ。

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