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春秋(7/17)

 皇居に集まってきた全国の知事たちが、いきなりクビを宣告されたのだという。ひとり残らず解職である。あまりの沙汰(さた)に大広間はどよめきに包まれたらしい。明治4年というから140年近くも昔、新政府が突如断行した廃藩置県だ。

▼お達しを受けたのは、知事とは名乗っていても江戸時代のままの諸国諸大名だった。その藩をつぶして新たに県を置く。県のトップは東京から派遣する。こう申し渡した明治政府の高官も内心ヒヤヒヤだったろう。それでも目立った抵抗はなくクーデターは成功し、近代日本は中央集権国家の道を歩むことになる。

▼もしかすると、それ以来の異変が起きているのかもしれない。戦後も地方に大きな権限はなく、知事だって官僚出身者が少なくない。そんな人たちもいる全国知事会がまとまって声をあげ始めたのだ。衆院選に向けて各党の分権改革への取り組みを点数化するという。明治以来の忍従に耐えかねての造反だろうか。

▼かつて殿様たちがおとなしく廃藩置県を受け入れたのは、藩財政の行き詰まりという事情もあったらしい。自由を捨てて中央のカネにすがったわけだ。そういう歴史を顧みれば分権改革という事業にはよほどの気概と戦略がいる。衆院選出馬をあきらめた人気者の知事さんも、闘い方をじっくり勉強のときだろう。

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