4月から導入の新基準で実施されている介護保険の要介護認定で、「非該当」(自立)と判定された申請者が4〜5月時点で5・0%と、前年同時期(2・4%)より倍増したことが厚生労働省の調査で分かった。
非該当は、申請者の心身状態や生活能力からみて介護サービスは必要ないという判定だ。新基準は介護認定が軽く判定される恐れがあるとして介護関係者や家族らから批判が相次ぎ、厚労省が新基準の影響を検証する検討会を設けて調べていた。
要介護認定では、自治体の調査員が申請者を訪問し調査項目をチェック。コンピューターによる1次判定の後、主治医の意見などを参考に自治体の認定審査会が最終的に判定する。
新基準では82あった調査項目を74に削減し、調査方法も変更された。実際に介護が必要でも行われていない場合は「介助されていない」となるケースがあり、個別の事情は特記事項として記入することになった。
「介助されていない」とすれば、コンピューター判定では「介護にかかる時間が0分」とみなされ要介護度は軽くなる。実施前に行われたサンプル調査では63%が同じ要介護度だったが、20%は軽く判定された。要介護度が下がれば介護保険で利用できるサービスが減ってしまう。利用者や家族にとっては深刻な問題である。
現在の利用者が更新認定を受けて介護度が下がった場合、これまで通りのサービスが最長2年間受けられる経過措置が急きょ設けられたが、新たに申請する人には新基準が適用される。
新基準導入は調査員や地域による認定結果のばらつき防止が目的と厚労省は説明している。だが、必要な介護サービスが後退しては元も子もない。十分な検証が必要だ。