HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 56608 Content-Type: text/html ETag: "f530c-120d-c9a051c0" Expires: Wed, 15 Jul 2009 03:21:12 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 15 Jul 2009 03:21:12 GMT Connection: close 7月15日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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7月15日付 編集手帳

 佐佐木幸綱さんに酒の歌がある。〈水で割るな薄めてはいかんウイスキーが時代の酒でありし日のこと〉。戦後の高度成長期か。グラスを手に明日また完全燃焼するべく、琥珀(こはく)色のガソリンをあおる企業戦士の横顔が浮かぶ◆いまはビールや発泡酒の花盛りだが、「時代の酒」とは呼びにくい。人いきれにむせ返るほど混沌(こんとん)とした活気にこそ似つかわしく、少子高齢化の世に「時代の酒」はないのかも知れない◆キリンとサントリーの経営統合交渉も、国内市場が少子高齢化で縮小し、海外市場で存在感を高める狙いと聞く。「時代の酒なき時代」ならではだろう◆どちらも「超」のつく優良企業である。うまくいっているときに変身を図るのが経営であるといわれる。苦し紛れの統合・合併を金融界などでさんざん見てきたあとだけに、ちょっと心の浮き立つ組み合わせではある◆別々に蒸留・熟成した2種類の原酒を混合し、(たる)に寝かせる工程をウイスキー造りでは「マリッジ」(結婚)と呼ぶ。原酒と原酒がなごみ、相手の個性を殺すことなく、まろやかな味をつくるという。縁談の成りゆきを見守るとしよう。

2009年7月15日01時18分  読売新聞)
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