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8月30日総選挙 問われる政策と政権担当能力(7月14日付・読売社説)

 連休明けの今月21日にも衆院を解散し、8月30日を投開票日とする衆院選日程が固まった。

 麻生首相が13日、自民、公明両党の幹部らと会談して合意した。

 首相は、東京都議選直後の早期解散を模索していた。しかし、都議選での自民党大敗を受け、党内で「麻生降ろし」の風圧が高まる中、投票日の先延ばしを求める与党内の大勢と妥協を図ったということだろう。

 民主党など野党が13日、内閣不信任決議案や首相問責決議案を国会に提出したことも影響した。

 ◆最後の機会にかける◆

 昨年9月、「選挙の顔」と期待されて登場した首相は、絶えず解散の機をうかがっていた。

 だが、米国発の金融危機のあおりを受け、秋の臨時国会の冒頭解散も、10月末解散も見送った。

 景気対策最優先の立場を強調したが、結局、解散で主導権をとれなかった。今回は、衆院議員任期満了に伴う選挙を回避し、自分の手で解散する最後の機会にかけた形である。

 これでいよいよ衆院選が具体的に動き出すことになる。

 昨年来、世界同時不況が進行し、日本の景気も、底をはうような厳しい状態が続いている。

 北朝鮮は「核ミサイル」開発・実験を強行し、国際社会の警告を無視したままだ。

 超少子高齢化社会が進行する中で、年金、医療、介護の将来に対する不安感が国民の間に増大しているのに、確かな設計図や安定財源は、いまだ示されていない。

 各党は、衆院選が公示される予定の8月18日を待たずに、党内論議を活性化させ、できるだけ早期に、明確な国家ビジョンと体系的な政策を固めて、有権者に提示してもらいたい。

 首相は、解散を決めたものの、依然、窮地に立たされている。

 起死回生を狙った東京都議選では、第1党の座を民主党に譲る大敗を喫した。

 今月初めの読売新聞世論調査によると、麻生内閣の支持率は19・7%と2割を切った。

 これほど低い内閣支持率で解散に打って出る首相は、あまり例がない。これまで第1党を維持してきた自民党の支持率は、同じ調査で2割台に低迷し、民主党を下回っている。内閣、政党支持率ともに二重苦にある。

 衆院選は、自民党と民主党の2大政党が有権者に真正面から「政権選択」を問う戦いになる。

 ◆論戦を通じて対立軸を◆

 しかし、問題は、両党ともに、国民の審判を受けるための政策づくりが遅れていることだ。

 首相は、これまで民主党との政策の違いを際立たせ、民主党の「政権担当能力」をただすことにこだわりをみせてきた。

 社会保障財源としての消費税率の引き上げ問題もその一つで、景気回復を前提に将来の税率アップに取り組む姿勢を示している。

 これに対して、民主党の鳩山代表は、党首討論で「我々が政権を取っても4年間、消費税は増税しない」と明言している。

 こうした消費税を含む税財源のあり方について、大いに議論を戦わせてほしい。

 民主党は海上自衛隊によるインド洋での給油活動やソマリア沖の海賊対策の根拠法に反対した。

 北朝鮮に出入りする船舶を検査する貨物検査特別措置法案も、民主党など野党が、問責決議案可決後、すべての国会審議に応じないとしていることから、今国会成立は難しくなった。

 国連安全保障理事会の決議を受けた法案を廃案にするなら、民主党が内外から「責任放棄」と批判されてもやむをえまい。

 有権者が民主党に不安を覚えるのは、民主党政権が誕生した際、内政、外交両面で、混乱なく日本の(かじ)取りが出来るのかということだ。こんな懸念をいかに払拭(ふっしょく)するかが民主党の課題になる。

 ◆政界再編の可能性◆

 一方、自民党はこの4年間で、小泉純一郎氏から安倍晋三、福田康夫、麻生太郎各氏へと、政権のバトンをつないできた。

 頻繁なリーダーの交代は、長く政権を担当してきた自民党の「統治能力の衰え」を示したものとの指摘もある。

 派閥の人材育成機能、政策立案能力の低下、リーダーの求心力の欠如など、党内に数々の構造的問題を抱えている。自民党はこれを機会に、解党的な出直しを図り、党改革を進める必要があるのではないか。

 2007年参院選で、民主党が参院第1党になって以来、衆参のねじれ現象の下、国会の機能不全が指摘されてきた。

 これが今回の衆院選で解消に向かうのかどうか。選挙後の政界再編の動きも含めて総選挙のゆくえが注目される。

2009年7月14日01時46分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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