かつての花形企業の復活なるか。日本航空の経営再建の行方に注目が集まっている。
日航は、政府保証のついた日本政策投資銀行の危機対応融資を中心にメガバンク3行などから計約1千億円の融資を受けることになった。先週開かれた関係機関の連絡会議では、金融機関側から抜本的なコスト削減を求める声が相次いだ。
日航は新型肺炎騒ぎや運航トラブル続発、内紛劇などで顧客離れが進み、現在の西松遥社長の下で経営改革に取り組んできた。再建は軌道に乗ったかに見えたが、今回の世界的景気後退の影響で国際線を中心に出張などが手控えられて収入が激減、2009年3月期は600億円を超す赤字となった。
旅客売上高でみると、ライバルの全日本空輸は国内線が国際線の2倍以上ある。日航はほぼ1対1だ。国内線は収入が比較的安定しているのに対し、国際線は海外要因に影響されやすく航空会社の経営を揺さぶる場合も多い。国際線比率の高さは経営悪化の要因の一つだろう。
しかし、それだけではない。半官半民の時代もあった日航には、お役所的な高コスト体質が残っているといわれる。西松社長自身、「まとめ役が多く間接部門が肥大化している」と非効率を認める。労働組合が八つもあり、経営改革を進めにくいとの指摘もある。
融資決定に伴い、日航は早期に経営改善計画をまとめることになっている。人件費削減などにより、高コスト体質の改善を形で示す必要がある。
路線のリストラも必要になろうが、国内線については全国に数多い空港の地元要望もあり、一朝一夕にはいくまい。日航の経営難とその再建の行方を通じて、日本の航空行政の在り方も問われている。