経営破綻(はたん)した米自動車最大手のゼネラル・モーターズ(GM)から、優良資産などを引き継いで「新生GM」が発足した。米政府が株式の約6割を保有する事実上の「国有化」で経営再建へと踏み出した。
GMは、6月1日に日本の民事再生法に相当する連邦破産法11条の適用を申請して経営破綻した。それから約40日間という異例の速さで法的手続きを終え、新会社誕生にこぎ着けた。当初の想定では60?90日間だったから大幅な短縮となった。
背景には、巨額の公的資金活用に対する国民感情を意識して円滑な進展を示したいオバマ政権の意向があった。政府は手続きが長引けば清算の恐れがあると強調、連邦破産裁判所も清算による影響を懸念して混乱回避重視に動いたといえよう。
新生GMは「シボレー」や「キャデラック」など4ブランドに絞って経営資源を集中させる。低燃費の小型車重視、人員や販売店の削減なども進め2010年の再上場を目指す。記者会見に臨んだヘンダーソン最高経営責任者(CEO)は、GM新時代をアピールするとともに、「15年までにできるだけ早く政府資金を返済したい」との決意を示した。
しかし、先行きは不透明だ。破綻を招いた原因の一つが、利幅の大きい大型車頼みで低燃費や環境対応技術への投資を怠った点にある。電気自動車やハイブリッド車などの開発・販売競争が激化する中で、遅れを取り戻しての魅力ある車づくりは容易ではない。全米自動車労働組合が政府に次ぐ新生GMの大株主ということも、経営効率化の懸念材料となりかねない。
新生GMが、大幅な意識改革やしがらみを断ち切って経営を軌道に乗せられるか。正念場はこれからだ。