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天声人語

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2009年7月13日(月)付

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 太田道灌(どうかん)が築き、徳川幕府が本拠とした江戸城は、長らく権威と安定のシンボルだった。大政奉還の後、西郷隆盛と勝海舟らの交渉で無血開城となる。皇居に転じたこの城の名からまず浮かぶのは、徳川の平穏や沈滞より、維新の転変と活力である▼昨日の朝日川柳に〈江戸城に火の手上がるか十二日〉の一句があった。東京都議選で民主党への期待が燃えさかれば、衆院選でいよいよ「大政」が動くとの見立てだろうか。なるほど、本丸を焦がす炎は高い▼都議選は民主党の圧勝、自民党の大敗で終わった。世論の揺れを柔らかく示す中選挙区が中心でこれだから、小選挙区主体の衆院選では、それぞれの勝ち負けに一層のメリハリがつきそうだ▼江戸城ゆかりの千代田区。1議席を争い、6月に手を挙げた26歳の民主新人が、7期目を目ざす自民の古参に競り勝った。無党派層が厚い首都の有権者は、政治の曲がり角では鋭く反応するらしい。都議選は何度か国政選挙の「予告編」を演じてきた▼「本編」の結末を変えたい自民党。早速、民意のマグマの何割かを生成した麻生首相への風当たりがきつい。しかし看板を改めるエネルギーが残っているのなら、さっさと政権公約をまとめ、政策で迎え撃つ準備を急いではどうか▼道灌は、主君が放った刺客に倒れた。歌道に通じた武将の辞世として知られるのは〈かかる時さこそ命の惜しからめ/かねてなき身と思い知らずば〉。あまりの沈着ぶりから創作説もあるが、この潔さが武士道のかがみとされる。政権党の覚悟やいかに。

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