学校に行かず、仕事も職業訓練もしない若者・ニートが、2008年は前年より2万人増えて64万人に上り、25〜34歳の高い年齢層で増加傾向にあることが、09年版の青少年白書で明らかになった。
総数は02年以降、同じレベルだが、年齢別では15〜24歳が26万人で02年に比べ3万人減少した。半面、25〜34歳は3万人増えて38万人となった。昨秋以降の急激な景気後退による雇用環境の悪化は、ニートの就業をさらに困難にするだろう。
白書は、内閣府が04年度中に高校中退した人や中学3年で不登校だった人を対象に行った緊急調査の結果を特集している。現況を尋ねたところ、ニートは高校中退者の20・8%、中学不登校者の16・5%を占めた。また、仕事に就いている人の半数以上は非正規雇用だった。学校でのつまずきが、ニートなどにつながったことがうかがえる。
高知県では、高校中退者などの個人情報を県教委が一元化し、学び直しや就労への誘導・支援を展開している。学校教育からの切れ目のない取り組みで、支援の手が届くように努めているという。
政府もニート対策に一段の力を入れ始めたところだ。昨年12月、新たな「青少年育成施策大綱」を策定し、ニートの総合的な支援に取り組む方針を明記した。今国会には若者の自立支援強化のための法案が提出され、子ども・若者育成支援推進法として今月1日に成立した。地域に総合相談センターを設け、支援のためのネットワークづくりを進めるなどが柱だ。
ただ、具体的な支援策の中身は関係省庁や各自治体に委ねられている。施策の具体化を急がねばなるまい。行政、企業、地域が連携し、きめの細かい支援策が求められる。